日本らい学会雑誌
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生活環境に起因する創傷予防への一考案
サーモスプリントを応用して
沖野 良枝安里 かおり泉 康野濱端 シズ子大西 充新上 仁美星野 ゆかり岩瀬 ヒデ子廣瀬 喜代子
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1994 年 63 巻 2 号 p. 55-61

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抄録

今回,私たちはハンセン病患者の生活環境に起因する創傷を予防し,保護する方法としてサーモスプリントに着目し,応用してみた。
その結果,対象患者40名に対し装着例は手27例,足17例計44例であった。そのうち,31例(70%)に創傷の予防,改善が見られ,特に手は27例中23例に,足は17例中8例に効果が認められた。また3例(7%)には効果がなく,10例(23%)は二次損傷や患者の不安などで中止した。
生活環境に起因する創傷の予防,保護にサーモスプリントを応用し,31例(70%)に目的とする効果を得た。しかし,足底への適応には組織,解剖学的面も考慮しさらに,研究が必要である。生活行動調査や,患者のサーモスプリント装着体験から明らかになった生活上の支障や不便に対する検討,作製上の工夫も課題である。
この試みを通して,患者と看護者がともに創傷の原因に対する関心を高め,予防への取り組みに積極的になったのは成果であった。

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