発育発達研究
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幼児の生活と運動能力に関する因果モデルの検証—正しい生活リズムは身体活動や運動能力にどのように影響するのか?—
池田 孝博青柳 領
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2009 年 2009 巻 42 号 p. 42_11-42_23

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抄録

正しい生活リズムは, 子どもの健全な発育に不可欠である. 本論文の目的は, 幼児の身体活動と生活リズムおよび運動能力の関係について検討することである. 研究対象は, 幼児 125 名 (男児 61 名, 女児 64 名, 年齢 [M±SD] 4.66±0.29 歳) とその保護者である. 幼児には 5 項目の運動能力テストを実施した. また, 保護者には, 幼児の生活リズムと身体活動に関する調査を実施した. 探索的因子分析の結果, 「運動能力」「身体活動」「朝の生活リズム」「晩の生活リズム」の 4 つの因子が抽出された. これらの因果構造は, まず, 高い運動能力が身体活動を多くするという基本モデルが選択された. 次に, AIC で比較した結果, 早起きや早い朝食の生活リズムは, 運動能力が高くなることに影響を与え, 早寝や長い睡眠時間の生活リズムは, 身体活動の多さに影響を与えるモデルが選択された. 最後に, 「運動能力」「身体活動」「朝の生活リズム」「晩の生活リズム」の総合的なモデルを検証した. その結果, 4 つの因子から構成される総合的なモデルは, 十分な説明力 (CMIN=48.990 [df=41, ns], GFI=0.928, AGFI=0.884, CFI=0.884, RMSEA=0.040) を満たすことが確認された. 晩の生活リズムと身体活動において有意な関連は認められなかったが, 運動能力と身体活動 (p<0.005), 朝の生活リズムと運動能力 (p<0.05) には有意な関連が認められた.

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© 2009 日本発育発達学会
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