日本造血細胞移植学会雑誌
Online ISSN : 2186-5612
ISSN-L : 2186-5612
症例
同種造血幹細胞移植後の多発性骨髄腫の再発に対するlenalidomide開始後に腸管GVHDを発症した一例
菊池 拓森 毅彦横山 健次松木 絵里上田 智基加藤 淳岡本 真一郎
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 2 巻 1 号 p. 32-36

詳細
抄録
症例は34歳,女性。IgA-λ型多発性骨髄腫に対して多剤併用化学療法,自家末梢血幹細胞移植を施行後,非血縁者間同種骨髄移植を施行した。移植後にcomplete responseが得られたが,移植後7 ヶ月目に再発した。Lenalidomide 25mg/dayの投与を開始。Lenalidomideを開始したところ,9日目に下痢・嘔吐が出現した。下部消化管内視鏡にて大腸粘膜の浮腫・びらんを認め,病理組織により腸管GVHDと診断された。Lenalidomideを中止すると共にステロイドの投与を開始し,速やかに症状の改善を認めた。同種造血幹細胞移植後のlenalidomide投与によりGVHDを発症した症例の報告は散見されるが,本邦からは報告されていない。同種造血幹細胞移植後にlenalidomideを投与する際にはGVHDの発症・再燃に十分に留意する必要がある。
著者関連情報
© 2013 一般社団法人 日本造血細胞移植学会
前の記事
feedback
Top