日本造血細胞移植学会雑誌
Online ISSN : 2186-5612
ISSN-L : 2186-5612
症例報告
Imatinibにより改善した強皮症型皮膚慢性移植片対宿主病の小児症例
高橋 寛吉康 勝好加藤 元博岸本 宏志小熊 栄二花田 良二
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2014 年 3 巻 1 号 p. 27-31

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抄録

 早期に骨髄および中枢神経に再発したB 前駆細胞性急性リンパ性白血病の4 歳男児に対し,HLA抗原型8/8一致の母より同種末梢血幹細胞移植を行った。移植102 日後より皮膚乾燥を認め,慢性移植片対宿主病と診断した。Prednisoloneを投与したが移植1年後より強皮症型の皮膚所見となり,成長に伴い脊柱側彎を認めた。移植9年後より胸郭の呼吸運動の制限による肺拘束性障害と,脊柱側彎の進行による右主気管支の圧排に伴う換気低下が進行し,呼吸困難を認めるようになった。ステロイド薬での改善は得られず,皮膚病変を標的としてImatinib投与を開始した。体表面積0.80m2 で100 mg/日より開始し2 週間後200 mg/日に増量した。6 か月後にはRodnan score は36 から27,SpO2 は85%から95%,PCO2 は70 mmHg 台から50mmHg台に改善した。Imatinib投与に伴う有害事象は軽度の下痢のみであった。

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© 2014 一般社団法人 日本造血細胞移植学会
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