日本造血細胞移植学会雑誌
Online ISSN : 2186-5612
ISSN-L : 2186-5612
総説
造血幹細胞移植におけるドナー選択の優先順位
諫田 淳也
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2014 年 3 巻 2 号 p. 39-48

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抄録
造血幹細胞移植においてHLA適合同胞が得られない場合の代替ドナーの第一選択は,HLA適合非血縁骨髄ドナーである。しかし非血縁ドナーが見いだせない場合や早期の移植が必要な場合は,他の代替ドナーを検討する必要がある。HLA1抗原不適合血縁ドナーが存在する場合は第一選択となるが,近年,前処置に抗ヒト胸腺細胞抗体を用いた場合,重症急性GVHD発症頻度が低下し,生存率が改善する可能性が示された。HLA1抗原不適合血縁ドナーがいない場合は,待機的移植が可能である場合においては,HLA-A,-B,-C,-DRB1座1アリルあるいはDR座1抗原不適合非血縁ドナーが候補に挙がる。また適切な細胞数を持つHLA2抗原以内不適合非血縁臍帯血があれば臍帯血を選択することも妥当である。HLA2抗原以上不適合血縁ドナーは魅力的なドナー候補であり,現在,様々な前処置・GVHD予防法を用いた臨床試験が行われている。これらのどの移植ソースを優先すべきかに関しては明確なエビデンスはなく,今後検討すべき課題である。
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© 2014 一般社団法人 日本造血細胞移植学会
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