2015 年 4 巻 2 号 p. 31-38
human leukocyte antigen(HLA)半合致移植や臍帯血移植は比較的容易にドナーが得られ,短期間で移植可能である。近年,感染症やgraft-versus-host disease(GVHD)に対する管理が進歩し,これらHLA不一致移植が増加している。HLA-Flow法はドナーとレシピエントの不一致HLAをそれぞれ特異的な抗HLA抗体で染め分け,フローサイトメトリーでキメリズムを解析する方法である。レシピエント由来細胞が検出された場合はそのフェノタイプも解析できるので,生着不全と再発の早期診断や,腫瘍細胞量のモニタリングを迅速かつ簡便に行える。ドナー特異的HLAと腫瘍マーカーを組合せると,腫瘍細胞におけるHLA欠失の有無を評価できる。本法は高精度かつ高感度のため,臓器移植後の末梢血のマイクロキメリズムの検出も可能である。市販されているアフィニティーの低いIgM型の抗HLA抗体に代わり,染色性の良好なIgG型抗体を作製できれば,HLA-Flow法のより広範な普及が期待できる。