2016 年 5 巻 1 号 p. 13-17
骨髄に単独再発したB前駆細胞型急性リンパ性白血病の11歳女児に対しHLAアリル型7/8一致・血液型一致の非血縁男性ドナーより同種骨髄移植を行った。急性Graft-versus-host disease(GVHD)はGradeⅠであり慢性GVHDを認めなかった。移植後14か月で甲状腺機能亢進症を発症し抗TSHレセプター抗体が検出された。以上よりバセドウ病と診断し,チアマゾールを開始したところ2か月後に甲状腺機能は正常化した。バセドウ病診断から18か月後にシルマー試験が陽性となり治療を開始した。バセドウ病診断から29か月後に慢性GVHDによる眼症状が顕在化したが3か月で改善した。同種造血幹細胞移植後のバセドウ病では甲状腺が慢性GVHDの標的臓器となっている可能性を考慮し,他の慢性GVHDの標的臓器についても注意深く観察する必要があると考えられる。