2016 年 5 巻 4 号 p. 118-123
移植後早期に発症する血球貪食症候群(hemophagocytic lymphohistiocytosis,HLH)は,頻度は低いが診断・治療に苦慮することが多い重要な移植関連合併症である。Pre-engraftment immune reaction(PIR),生着症候群(engraftment syndrome,ES),超急性移植片対宿主病(hyperacute graft-versus-host disease,hyperacute GVHD),移植後早期HLH,idiopathic pneumonia syndrome(IPS)など,生着前後の過剰免疫反応に由来する一連の合併症をposttransplant cytokine storm syndromeとして捉えるなら,その中で移植後早期HLHは単球・マクロファージ系の活性化が主役をなす病態と理解できる。移植後早期HLHに対して活性化した単球・マクロファージ系の鎮静化を目的とする少量etoposideやdexamethasone palmitateを用いる治療法の有効性が報告されている。生着前後における免疫学的プロファイルの詳細が明らかにされるとともに最適な免疫制御法が確立されることを期待したい。