日本造血細胞移植学会雑誌
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学会記
学会総会シンポジウム報告 : 慢性GVHDの現状と未来
稲本 賢弘松岡 賢市
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2018 年 7 巻 2 号 p. 56-63

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抄録

 慢性移植片対宿主病(graft-versus-host disease,GVHD)は同種移植を受けた患者の30-50%に発症し,晩期の有病リスクや死亡リスクに影響し,生活の質を損ねる主な原因の一つである。現在日本で保険承認された慢性GVHD予防薬および治療薬はステロイドとカルシニューリン阻害剤が中心であるが,体外循環式光化学療法,低用量IL-2,タミバロテンなどの新規治療の治験が終了し,承認が期待されている。第39回日本造血細胞移植学会総会のシンポジウムでは,慢性GVHDのメカニズムに関する最新の知見と,日本人の慢性GVHDの特徴が紹介された。また,日本の慢性GVHD治療の現状アンケート調査の結果も紹介された。さらに,海外の専門家より基礎および臨床の最新知見を紹介いただき,日本の現状を踏まえた上で,慢性GVHD治療の将来について議論を深めることができた。本総説ではシンポジウムの概要を報告する。

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© 2018 一般社団法人 日本造血細胞移植学会
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