2020 年 9 巻 3 号 p. 72-76
近年,ネットワークメタアナリシスを用いた研究論文の発表数が急速に増加している。従来のメタアナリシスは2者の比較に限定されていたのに対して,ネットワークメタアナリシスは3者以上の比較を行うことができる。しかし,この解析によって,新たに大きなエビデンスを生み出されるというわけではない。また,その解析の実施,結果の解釈は容易ではなく,ネットワークメタアナリシスにおいては,通常のメタアナリシスで求められる前提に加えて,さらにいくつかの条件が加わってくる。しかし,新規治療薬同士の直接比較試験が行われる可能性が低いような状況などでは,ネットワークメタアナリシスは,強固なエビデンスではないものの,治療選択上の参考になるデータを提供してくれる有用なツールであるといえる。