抄録
著者等は、イネ種子から細胞壁や四分子期花粉外膜などの主要成分であるβ-グルカンの分解酵素(β-グルカナーゼ)を精製し、その特性について既に報告した。このβ-グルカナーゼの精製過程で、種子抽出液中に比較的高いβ-グルコシダーゼ(EC 3.2.1.21)活性が存在することが分かった。β-グルコシダーゼに関しては細菌起源の酵素を中心に多数の報告があるが、高等植物のβ-グルコシダーゼに関する報告は最近では少なく、イネ由来の本酵素に関する報告は極めて少数である。そこで、今回はイネ種子で比較的高いβ-グルコシダーゼ活性が検出されたことに基づき、発芽過程における本酵素の役割を明らかにする目的で活性変動を調べるとともに、その部分精製を行い幾つかの性質を明らかにしたので報告する。