抄録
1,3-β-グルカナーゼ(EC3.2.1.39)はカラーゼとも呼ばれ、植物の花粉の形成、生体防御反応、雄性不稔、篩管内のカロースの分解、ストレス応答など多くの生理的過程で重要な役割を果たしている酵素のひとつであるが、イネ由来の本酵素の性質に関する報告がなかった。我々はイネの種子から酸性の等電点(pl約3.8)をもつ1,3-β-グルカナーゼアイソザイムを精製し、その性質とN末端一次構造の一部を明らかにした(農化学会'95要旨)。本回は、イネ種子由来の塩基性1,3-β-グルカナーゼアイソザイムを精製してその特性を解析するとともに、その発芽期における活性変動や若い葯の中の酵素の性質などを調べたので結果を報告する。