北海道地理
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野幌の窯業
伊藤 久雄
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1972 年 1972 巻 47 号 p. 30-34

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抄録

1) 野幌・江別市街付近には煉瓦使用の建造物が見られ特色ある景観をなしている。
2) 北海道の煉瓦製造は幕末に尻岸内で始まり, 明治5年茂辺地, 同15年月寒, 同17年白石に工場が出来たが, 野幌では北海道炭鉱鉄道会社が自給を目的として明治31年工場を建設したのが創始である。爾来, 干餘曲折があったが, 現在10工場が煉瓦と土管の製造を継続し, 煉瓦については全道生産の大部分を占めている。近年はセラミックの工場も操業するようになった。
3) 煉瓦工場が野幌に立地し, 集中したのは良質の原料粘土及び山砂が豊富に存在する上, 幌内鉄道野幌駅が開業して交通の便がよかったことによる。製法は漸次改良され, 近年は重油燃料のトンネル窯と生煉瓦の室内乾燥装置が用いられるようになり生産能率を高めるようになった。
4) コンクリート・ブロツク等建築材料の発達は煉瓦の需要を圧迫し, 需要は減少傾向にある。土管も停滞状態にあるが, セラミツクブロツクは需要増加に伴って生産が上昇している。野幌窯業の将来については種々の問題があるので, 窯業協同組合が経営について, 道立工業試験場窯業分場が技術・研究についてそれぞれ活動している。

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