本研究では糖およびその類縁体に対する分子認識を駆動力とした膜融合を実現するために,コイルドコイルポリペプチドとボロン酸誘導体によるデバイスを設計合成した。このデバイスは細胞内エンドソーム環境においてのみ,標的選択的な膜融合を実現できるよう,pH応答型コイルドコイルに基づき設計がなされている。人工的な系として糖類縁体であるホスファチジルイノシトール含有リポソームを標的とした際に,本研究で合成したデバイスを含む担体リポソームはエンドソーム環境に匹敵する弱酸性条件において,ボロン酸-イノシトール間の分子認識を経た一方向的な膜融合挙動が観測された。