2014 年 65 巻 2-4 号 p. 119-127
背景と目的:血管内皮細胞は常に虚血関連酸性状態に暴露されるが,それらのケモカイン受容体に及ぼす影響は不明である.本研究では細胞内酸性化物質であるcoupling factor 6 (CF6) のケモカイン受容体調節における役割につい
て検討した.
方法と結果:ヒト臍帯静脈内皮細胞に10⁻⁷M CF6を添加し,24時間後にマイクロアレイ法でケモカイン受容体の遺伝子発現を検討した.CC chemokine receptor 9とCX3C chemokine receptor 1は増加し,CXC chemokine receptor 4 (CXCR4) は減少した.CXCR4 の mRNA および蛋白発現の減少を,リアルタイムPCR と Western Blot法で確認した.ヒト臍帯静脈内皮細胞に CF6 を添加すると apoptosis が惹起された.
結論:CF6 は血管内皮細胞のケモカイン受容体発現に影響し,apoptosis を誘導する可能性が示唆された.