植生史研究
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宮崎市本野原遺跡出土の 縄文時代後期のマメ類種子多量混入土器
小畑 弘己宮浦 舞衣
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2021 年 29 巻 1 号 p. 3-14

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抄録
本野原遺跡は,宮崎市の中心部から 50 km 西に位置する,約 4300 ~ 3500 年前の九州地方の縄文時代で最も大きな集落の一つである。我々は,36 回にわたるこの遺跡での 179,135 点の土器の「圧痕法」による調査によって,マメ類を含む 500 点以上の種実や家屋害虫の圧痕を発見した。この調査以前には植物性食料資源と推定されるものは本遺跡ではコナラ属の堅果類のみであった。X 線機器を用いた追加調査の結果,九州地方で最も多数のダイズやアズキなどのマメ類圧痕を得るとともに,九州初の多量マメ類混入土器を検出することができた。これらの発見は九州地方における最も初期のマメ類栽培と栽培植物の豊作に対する精神と儀礼的行為の出現の可能性を示す。さらに,土器胎土中の高密度のマメ類種子はそれらの粘土中への意図的混入を強く示唆している。
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© 2021 日本植生史学会

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