北方民族文化シンポジウム網走報告書
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Print ISSN : 2188-7012
第37回北方民族文化シンポジウム網走 北方諸民族文化とジェンダー 2
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「我々は我々がすべきことをする」
ロシア・ヤクーチア西部のエベンキ共同体における資源採掘、労働とジェンダー
*ベロリュブスカヤ ガリーナ 
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p. 015-020

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抄録
 過去そして現在のロシア最大の共和国であるサハ共和国(ヤクーチア)は、大規模な資源採掘と密接に関連してきた。常に拡大してきた採掘産業は、地域社会における先住民の生活に多大な影響を及ぼしてきたが、その一つが共和国西部に位置する人口400人に満たないシュルデュカル村である。多くの研究者(例えばFerry(2011))が、資源採掘がいかに男性性と家父長的ジェンダー関係を助長するかについて研究している。  本発表では、資源採掘がどのような労働空間とインフラをシュルデュカル村に創り出してきたかを描き出す。村内外のすべてが、地域社会ではなく、採掘産業の必要性のために構成されているからである。また、この構成された空間が、地域社会内部の特定のジェンダー関係にどのように影響するかを論じる。ソ連時代にダイヤモンドが領域内で発見されたことにより、トナカイ飼育経済を失った先住民エベンキの地域社会として、シュルデュカル村は資源採掘以前の生活に関する多くの物語を持っている。これらの物語は、移動生活、集団性、ジェンダー平等に関するノスタルジーに満ちている。その結果、地域住民は、文化復興、つまり祖先や起源への回帰に自らの未来を見出している。現在、彼らは資源採掘によって助長されたジェンダー不平等に打ち勝つべく、労働機会とジェンダーに配慮したインフラのために戦っている。
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© 2024 本論文著者
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