法学ジャーナル
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占領下における外国人・外国法人課税再開の過程
加野 裕幸
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2019 年 2019 巻 97 号 p. 21-47

詳細

  • 目次
  • はじめに
  • 第1章占領下における外国人・外国法人課税の変遷
  •  第1節GHQ の覚書による外国人・外国法人の事業活動に対する課税の経過
  •  第2節昭和22年から昭和27年の国内税法の税制改革の流れ
  •  第3節昭和22年度税制改正における納税義務者について
  •  第4節昭和22年改正後の外国人・外国法人課税について
  •  第5節まとめ
  • 第2章占領下における外国人・外国法人に対する課税に関する若干の問題
  •  第1節外国人・外国法人の源泉徴収の義務の問題
  •  第2節外国人・外国法人課税の問題に対するシヤウプ使節団態度について
  •  第3節まとめ
  • 第3章GHQ 覚書により実効性を与えられた外国人・外国法人への課税の再開(昭和25年改正税法の趣旨)
  •  第1節外国人・外国法人課税の再開と課税の根拠
  •  第2節法施行地にある資産の範囲
  •  第3節法施行地にある事業の範囲
  •  第4節外国人・外国法人の法施行地にある事業所得の課税標準の計算について
  •  第5節まとめ
  • おわりに

はじめに

本稿は、昭和21年ごろから昭和27年ころまでの国際課税の一部を明らかにするのを目的としている。当時は連合国軍により占領されていた時期であり日本がサンフランシスコ講和条約により昭和28年に独立する以前の状況である。占領下において、外国人・外国法人が国内税法に基づいて課税権の執行を受けていたのか、当時の大蔵省の担当官の資料を参考に所得税及び法人税における外国人・外国法人の課税についてどのような過程で進められていたか、また当時の国内税法について分析することとする。

戦前の日本における国際課税制度の一部分を構成するものとして所得税法人税内外地關渉法、所得税等の日滿二重課税防止に關する法律、日滿國税徴收事務共助法が存在していたが、帝国議会第90議会衆議院22号本会議(昭和21年7月30日)で廃止になっている。これらの廃止になった法律は一部の地域や国に限られている。それ以外の外国人・外国法人に対する取扱についてはこれらの法律の廃止の影響は少ないと考える。

先行研究では、占領下の外国人課税について非永住者制度についての研究がある1。そして日本の国際課税制度の成立と展開を俯瞰している研究がある2。本稿では、国立公文書館所収の一次資料や当時の担当者の口述記録を参照し、当時の外国人・外国法人の課税について焦点を当てて問題点を検討している。本稿で取り上げるのは、終戦以前より日本に永住して完全に円貨国内経済に依存しているもの以外の外国人又は外国法人の課税問題である。

第1章 占領下における外国人・外国法人課税の変遷

第1節 GHQ の覚書による外国人・外国法人の事業活動に対する課税の経過

占領下において外国人・外国法人に対する課税が如何にして再開されていったのか、大まかにではあるがここで確認していくとする3。連合国軍最高司令官総司令部(General Headquarters。以下「GHQ」という)の覚書である連合国軍最高司令官指令(Supreme Commander for the Allied PowersIndex Number。以下「SCAPIN」という)により、外国人に対しての課税が再開される過程を確認する。

外国人・外国法人に対する課税に関して大蔵省より昭和21年6月6日大蔵省発LO627「在日中華民国人に対する課税について」がGHQ に発せられた。そして6月19日連中央事務局発「在日外国人に対する課税について」回答があり、正式に覚書として昭和21年7月25日SCAPIN1826A「非日本人に対する一般の税の適用について」が発せられた。ここで、占領軍人、軍属及び外交官の公的給与を除き国税及び地方税は全て非日本人に対して適用あることを確認し、昭和22年9月9日タイム社宛て総司令部書簡「日本税法の遵守について」は、外国商社の源泉徴収義務を明瞭にした。昭和22年11月29日SCAPIN4938A「非日本人に対する課税の適用について」日本国の租税法規の適用に関する占領下の原則を明確にした。すなわち、占領軍人、軍属、外交官及び最高司令官附属の公的代表者の公的給与、円貨以外の通貨により合法的に受領された所得及び戦争の結果日本政府に帰せられる賠償又はその他の費用に元来充当される目的を有した税(財産税、戦補税がこれにあたる)を除いて国税及び地方税はすべて非日本人に対して適用されることである。

そして昭和25年5月27日SCAPIN4938A1「SCAPIN4938A 改正の件」は、右の原則に変更を加えて従来非課税とされた「円以外の通貨により合法的に受領された所得」は昭和25年7月1日以降課税されることとなる旨を明らかにした。ここで円以外での取引についても課税することができるようになった。外国人特に連合国人乃至は外国商社はおおむね非円通貨によって所得を得ていた。ここに同年7月1日以降は交換円の制度を持って外貨流通を禁止した措置と相俟って商業入国者等の外国人及び外国商社は全面的に直接税が課税されることとなった4

戦後に入国した外国人の課税上の扱いについては連合国人等は合法的な非円通貨所得に関する限り、昭和25年6月30日以前は課税せられなかったのである。もとより同日以前において総司令部外資部の正式許可に基づいて円通貨による業務を行った許可商社は相当数存在していたのであるが、税務当局の課税体勢が整わなかった関係もあり、一般的に戦後に入国した外国人及び外国商社については積極的な課税はほとんど行われていなかったから、終戦後における連合国人等に対する外国人課税は実質昭和25年7月1日以降に再開されたものである。

第2節 昭和22年から昭和27年の国内税法の税制改革の流れ

昭和22年から同27年までの租税法の改正点を整理すると、日本の所得税及び法人税の税制改正の流れとしては次のようになる。税制改革は大きく3つに分類されている5。関係する法改正の流れは次の通りである。①「転換期(昭和22年-同24年)、② 昭和25年にシャウプ税制を勧告6、③「シャウプ税制確立期」(昭和25年-同27年)。昭和22年改正においては日本国憲法の制定に伴う全面的制度改革が行われた。臨時租税措置法が廃止され租税特別措置法(法律15号)が制定された。そして所得税、法人税、相続税等の直接国税の分野で、全面的に申告納税制度が採用された。所得税が大幅に改正され分類所得と総合所得の二本建て制度が廃止され、総合所得税一本建ての制度が採用された7。「昭和24年に経済安定九原則を実現するため、ドッジ・ラインに基づき超均衡予算が編成され、それによってインフレーションは急速に収束に向かった」。これに引き続き「わが国の税制の全面的な再検討と改革」のため「アメリカから、コロンビア大学教授のカールシャウプ博士を団長とするシャウプ使節団」が来日することとなった。昭和24年5月10日に来日し9月15日に膨大な報告書を発表した。租税の体系としては、所得税・法人税を中心とする勧告を行った。そして法人税については配当に対する源泉徴収を廃止するとともに、二重課税を排除するための措置として、所得税を計算する場合に配当所得の一定割合(25%)を税額から控除することを勧告した(配当控除制度)8。次節から各年度ごとに外国人・外国法人に関する改正経緯を概観していく。

第3節 昭和22年度税制改正における納税義務者について

この昭和22年度改正においては全文改正が行われた。無制限納税義務者及び制限納税義務者の定義規定をここで確認しておく。所得税法1条(昭和22年法律第27号)は「この法律の施行地に住所を有し又は1年以上居所を有する個人は、この法律により、所得税を納める義務がある。」と規定している。この時点ではまだ「非居住者」という文言は出てきていない。法人税法2条(昭和22年法律第28号)は法人税の納税義務者として「この法律の施行地に本店又は主たる事務所を有する法人」及び「本店又は主たる事務所を有しない法人で法律の施行地に資産又は事業を有するもの」と規定している。この時点ではまだ「外国法人」という文言は出てきていない。その後、昭和23年に若干の改正9があったが、このような大幅な変更は行われていない。外国人・外国法人については、昭和15年の改正の所得税及び法人税の条文がほぼ変更されていない状態である10

第4節 昭和22年改正後の外国人・外国法人課税について

上記の通り国際課税制度については昭和22年の改正では昭和15年法を継承した理由としては下記のような記述がある。当時の外国人及び外国法人に対する課税の考え方として、国内法たる日本国の租税法規がこれらの外国人及び外国法人に対していかに適用されるか、当時の大蔵省主税局管理第一課長忠佐市氏は次のように述べている11

昭和22年当時、日本国の国内法は、「連合国の管理のもとにその効力を有していたと考えられる。その国内法が、明らかに日本人に対してのみ効力があるものとして規定されている事項は、非日本人12には、その適用はない」。しかし「国内法が、一定の事実を前提として、国籍のいかんをなんら考慮することなく規定を設けている事項は、それが日本国の主権の及ぶ地域において実現されている限り、日本国人に対しても、非日本国人に対しても、いずれも適用があるものと考えなければならない」という国内法に対しての考えを述べていた。さらに当時の「租税法規においても同様のことがいえる。租税法規においては、特に日本国人だけに適用があるものとして設けられた規定は、ほとんど存在しない」。したがって「租税法規に規定されている事項については、それは、非日本国人にも適用されるのが原則である、と考えるべきである」としている。また自然人だけでなく法人に対しても同様であるとした。

第5節 まとめ

昭和20年から昭和26年までの占領下の日本では昭和22年に所得税及び法人税の全文改正があったが定義規定である納税義務者や国際課税制度については昭和15年所得税法を継承した13。昭和23年に従前からの外国法人に対する差別的税率(外国株主に対する配当は国外流出となることが理由)が撤廃されている14。昭和25年にSCAPIN4938A1 により外国人に対する非円通貨での課税が再開された。

第2章 占領下における外国人・外国法人に対する課税に関する若干の問題

第1節 外国人・外国法人の源泉徴収の義務の問題

外国法人が日本に於いて事業活動する場合、従業員に対して給与を支払うが、その際に所得税法において源泉徴収義務が発生する。外国法人が源泉徴収義務者として所得税の納税に関して占領下という状況でどのような問題があったのか観察する。占領下における外国法人に対する所得税の源泉徴収について、国税庁が実際に徴収義務者である外国法人を訪問し調査した報告書がある15。ここでは3社訪問し、聞き取りを行っている。源泉徴収を行う必要があるが、対応しない会社もあり、徴税がうまくいかないケースも報告されている。

•源泉徴収に関する報告一九四七年八月二五日

八月二二日及び二五日の〓16日主税局管理課長忠事務官主税局宮沢事務官及び東京財務局、関係税務署事務官数名で司令部免許業者による所得税源泉徴収状況を調べて廻った、調査報告以下の如し

一 ノース・ウエスト航空会社―千代田区丸の内丸ビル内

㈠ この会社は現在まで源泉徴収につきある程度関心を示してきた一九四七年七月五日頃宮沢       事務官が同社のパーマー氏をその要請により訪問し新所得税の源泉徴収につき説明し、法律の寫しと源泉徴収に必要な数種の用紙を提供した。其の後パーマー氏は麹町税務署に至り源泉徴収に関する詳細の説明を受けたその時パーマー氏は源泉徴収した税金をナショナルシティバンクに納めて良いかどうかを尋ねたが税務署はそれを否定し、日本の銀行又は郵便局を納税に利用して慾しいと答えた

㈡ この件に対する凡ゆる表面上の関心にも拘わらず現在まで税金は全然日本政府に納められてゐなし、我々はその理由をパーマー氏不在につき同会社東洋部〓〓〓はやや漠然としてゐたが後に至り会社はその使用人の納税義務を完全に認めてはいるが会社がその使用人に代わって源泉徴収の義務を負うかどうか明らかにされていないといふ点を指摘した

㈢ 之に対し我々は一九四六年三月十九日附けの日本政府覚書を示し「すべての外國人(軍人及び軍隊附属員を除く)は日本國民と同様に現存租税法律を遵守すべきこと」を規定した第二項を指摘した前述日本政府覚書の回答たる一九四六年七月二五日附の聯合軍総司令部の覚書をも同じくピーブグラス氏に提示した。

㈣ 然し乍らピープグラス氏は主張した。即ち

(イ) これらの覚書はたとひ使用人の納税義務は明瞭なるも源泉徴収すべき会社の義務は之を規定してゐない。

(ロ)  当会社は軍人(この点につき宮沢事務官は会社は軍人ではないとしてピープグラス氏に反駁した)か又は軍隊附属員と見做され得る。それ故にたとへかかる義務が覚書に規定されてゐるとしても源泉徴収の義務は免れることができる。

㈤ かかる理由よりピープグラス氏は税金を源泉徴収すべき免許業者の義務を明確にした大蔵省の文書を要求した。彼はかかる文書があるならば所得税の源泉徴収をいつでも又喜んで之をなすと言つた。

㈥ 我々は彼に同会社は一九四七年四月に遡って源泉徴収する義務があると言った。これに対しピープグラス氏は八月からすることで妥協してくれないかと言つてゐる。

㈦ ピープグラス氏は使用人六十名のうち〓〓〓円で支拂ひを得る非日本人を数名傭つてゐると述べた。

二 セントラルモオシヨンピクチェアエクスジェンシー港区新橋電話(五七)

㈠ 我々は経理部長アルベツク氏及経理部次長妻鳥氏に会つた

㈡ アルベツク氏は会社が税の源泉徴収をすべき理由を納得しなかつた司令官と日本政府の覚書を見た後でさえアメリカ政府の代行機関は、陸軍の代理であるからPX の収益税を支拂はぬと同様日本の税法に規定する義務を負わないといふ彼の考えを変更しなかった

㈢ 我々は彼の個人的且つ恣意的解釋を反駁したがかれはその解釋は会社の弁護士たるマクイバー、カウトマン、スミス及びヤマモトの法律事務所の解釋であるといった

㈣ 正午になったので会見は結論を得ぬまに終わつた

㈤ 同会社は百五十名の使用人を傭いそのうち十八人程度が外國人である。

三 リーダーズ・ダイジェスト会社神田区駿ヶ台

㈠ 税務署からの報告によればこの会社の源泉徴収は満足するに足る。

同会社は一九四六年四月より税金を徴収し納税してゐる。その金額は最近は使用人一人当たり一月につき平均一、二〇〇円になる

㈡ 眞実の徴収をたしかめるために給料支拂者の檢査が総支配人のロード氏の出席の下に行はれた。給料拂簿及び納付された税金は月々の申告書と一致してゐた。給料支拂簿のトップには編集長の鈴木氏が居り月給一八、七五〇円であった。その次は本人の説明によればやがてアメリカの国籍をもつことになつて居り、且つ会社の使用人中唯一の非日本人であるロード氏であった。高等女学校卒業者は去る七月一済に五割給料値上げがあったので現在は平均二〇〇〇円を得てゐる。日本人の給料(税を含む)は上掲の鈴木氏を除き一、六五〇から七、五〇〇円の間である扶養家族の数は平均〓〓唯一人の得意な例外は八人である。

㈢ 調査の結論としてはこの会社の源泉徴収は現在まで可成り満足すべきものである。

以上のように、3社について報告されている。外国法人は独自の法解釈により源泉徴収を拒否している外国法人もあり、当時は、源泉徴収制度に従わない外国法人もあることが分かった。

第2節 外国人・外国法人課税の問題に対するシヤウプ使節団態度について

外国人・外国法人課税の問題について、当時の主計局次長永原純夫氏、主税局税制第二課長塩崎潤氏の口述資料で次のように述べられている17

「直接税関係の内幕の話であとほんとうに内幕的なものは外国人課税の問題です。外国人課税の問題というのは、やはりアメリカ人が一番多く来ていますから、中心はアメリカ人の問題だというので、彼ら(シャウプ使節団)はあまり触れるのは好まなかったようです。というのはアメリカ人は非常に所得が多い。本国ベースでそれにこっちの在勤加俸的なものをつけてもらうわけですから非常に所得が多い。そしてこの問題は当時から司令部が載りだして控除なり何なり軽減の措置をとってもらいたいという要望があった。シャウプハカセたちも問題としては取り上げたわけですが、結局勧告もこれは日本政府にまかすということで逃げております。色々話をしましたが、結局彼ら学者でもあるし、こういう問題は日本政府でやってくれということで、それが特別措置法の中の何カ条かに入って大分軽減をしたようなかつこうになりましたが、まあこの辺も司令部的なあくを全部持たないで、そういう問題は全然ごめんだというようにさらりとやれたというのがシャウプたちの特徴をある意味では現わしているかもしれません。」

昭和25年から30年にかけて外国人・外国法人の利子・配当及び給与に関して租税特別措置法第3条乃至第5条で軽減する旨が規定されていた。外国人課税に関する部分においてすくなくとも租税特別措置法第3条乃至第5条については、上記の通りシヤウプ使節団は関わっていないことがわかる。

第3節 まとめ

占領下において外国法人の一部は、独自の判断によって源泉徴収義務を負わないとして解釈していたことが明らかになった。この点について軍属の関係を除けば、リーダーズ・ダイジェスト社においては通常に源泉徴収を行い納税していた。軍関係を除けば忠氏の説明18の通り課税されていたと考えることができる。また、シャウプ使節団との影響については、外国人・外国法人の課税においてGHQ の影響が大きくシャウプ使節団の影響はほとんど見られないことが当時の関係者によって明らかになったと考える。

第3章 GHQ 覚書により実効性を与えられた外国人・外国法人への課税の再開(昭和25年改正税法の趣旨)

第1節 外国人・外国法人課税の再開と課税の根拠

外国人・外国法人19に関する課税については、前述の通り占領下であっても原則として課税出来るという見解が示されていた20。GHQ の覚書(SCAPIN4938A1)により昭和25年に外国人への課税が再開され1年後の昭和26年、外国人の税法上の取り扱いについてとりまとめがあり発表されている21。一般に外国人又は外国法人という用語をもって日本の国籍を有しない者あるいは、それらの者によって所有され支配され乃至は外国の法律に基づいて設立された法人と介して、これらが所得税法又は法人税法の上で、如何に定義され取り扱われているかを概略しておく必要がある。所得税法及び法人税法に分けると次の通りである。

第1に所得税の対象となる個人については、所得税法(昭和22年、法律第27号)第1条は「法施行地に住所を有し又は1年以上の居所を有する個人」の納税義務を無制限納税義務者と「法施行地に資産又は事業の所得を有するとき」は制限納税義務者として2つの範疇に区分するとともに、同法第6条8号は「日本の国籍を有しない者の法施行地外にある資産又は事業の所得」は所得税を課さないと規定している。したがって原則的に所得税法の規定は国籍による事なく、法施行地に住所又は一年以上の居所を有する者、有しない者の区別に基づいて納税義務者の広狭と軽重を認めているのであって、ただ外国人については所得の発生が外国にある資産又は事業に基づく場合があるのを想定して二重課税等に対する考慮から非課税所得(所得税法第6条8項)を認めている22

第2に法人税の対象となる法人については、法人税法(昭和22年、法律第28号)第1条は「法施行地に本店又は主たる事務所を有しない法人で法施行地に資産又は事業を有するもの」を外国法人と定義し、同法第2条は「外国法人に対しては、法施行地にある資産又は事業の所得についてのみ法人税を課する」と規定する。従って法人を所有又は支配する者の国籍或いは法人の設立準拠法による事なく、専ら定款に記載された本店の所在地をもって内国法人と外国法人に区別し、その納税義務の広狭と軽重を認めているのである23

日本の国内税法は、まず「住所地主義」をもって原則とし、次いで勤労、資本及び両者の結合たる事業の三種の所得源のうち明らかに法施行地にある所得源を抱えて「所得発生地主義」を併用した構造を有する者と解される。前掲の国籍に基く非課税所得の規定(所得税法第6条8項)は後者の主義を表現するものと解され、通常の用語例たる国籍を中心とした外国人又は外国法人は、税法上、「住所地主義」と「所得発生地主義」の二つの原則に基づいて位置づけられている24

第2節 法施行地にある資産の範囲

外国人及び外国法人が日本で事業活動するに当っての問題点はその資産がどの程度の範囲ものか明らかにする必要がある。制限納税義務者及び無制限納税義務者である外国人に対する所得税ならびに外国法人に対する法人税の課税範囲について問題となる第1の点は「法施行地にある資産の所得」である。

ここでの問題は二つに分かれる、その一つは「資産の所得」とは種々の資産より生ずる所得のうちいったいどのような形で発生する所得を資産のうち「法施行地にある」ものとされる「資産」は何であるかという点である。次の2つの点に分けて考えることができる25

第1に所得税法第6条8号の非課税規定を除外して考えれば、これが法施行地に居住するか否か問わない制限納税義務者に対する規定である。法人税については、外国人が事業所を有し事業を営むと知れば法人所得の性質上資産の所得は事業の所得に包含されるところから主として非居住外国人に関する規定と考えざるをえないこと。

「資産の所得」とは法施行地にある源泉から恒常的に又は定期的に発生する所得を課税しようとする趣旨は疑い得ないところである。したがって問題はこの種の所得以外のもの例えば法施行地にある動産又は不動産の譲渡による所得、特に譲渡が非居住者間においておこなわれる場合の如き、あるいは偶発的な事情で売却される場合の如きがである。この点に関しては所得税法第6条8号の「資産の所得」という規定は、特に無制限納税義務者に対する適用にあたって上記の場合を想定しても、これを狭義に解することが合理的且つ妥当であるように考えられる。そのほか同種の規定即ち所得税法第1条2項1号及び法人税法第2条の「資産の所得」はこれを主として恒常的な又は定期的に発生する種類の所得にかかるものと解し、法的安定性と課税技術にかんがみて異常な所得又は例外的な場合に対処する根拠規定として働かせる場合を除き、資産より生ずるあらゆる所得に厳格に適用することは避く可きものと考えるのが妥当と思われる。所得税法基本通達4は、制限納税義務に関する右の法施行地にある資産は「事業の用に供する資産以外のすべての資産を言うものとする」と明示している。

第2に「法施行地にある」資産である。所得税法基本通達は「相続税法第10条第1項及び第2項に準じて」判定するものとし、相続税法の基本通達を用いて外国人・外国法人の資産の所得を示している。

⑴ 動産、不動産または不動産の上に存する権利についてはその動産又は不動産の所在。但し船舶については船舶の所在。

⑵ 鉱業権、砂鉱権については、鉱区又は砂鉱区の所在。

⑶ 漁業権、入漁権については、漁場に最も近い沿岸の属する市町村又はこれに相当する行政区。

⑷ 金融機関に対する預金等については、その預金の受け入れをした営業所又は事務所の所在。

⑸ 合同運用信託に関する権利については、その信託の引き受けをした営業所の所在。

⑹ 特許権、実用新案件、意匠権、又は商標権については、その登録をした期間の所在。

⑺ 営業所又は事業所にかかる営業上又は事業場の権利についてはその営業所又は事務所の所在。

⑻ 前号に掲げる財産以外の財産の所在については、当該財産の権利者の住所の所在(注法人税通達では、権利者たる法人住所の所在)。

2つの問題点が指摘されている。第一に財産の所在が住所に関連づけられている点、制限納税義務者及び無制限納税義務者については⑴乃至⑺ 以外の財産は法施行地外にある資産とされそれから生ずる所得は特に事業の所得に該当する場合を除き課税されないと規定されているのと同様であり、又法人についても法施行地に事業を有しないあるいは法施行地に事業を有する場合の外は当該法人の住所地たる本店所在地即ち法施行地外にある資産とされその所得は同様に課税せられない。第2は⑻ に該当する財産には現在の国際経済活動の動向より見て無視することのできない性質の所得源たる資産が含まれていることである。例えば、配当所得又は譲渡所得を生ずる記名株式、又は出資等、雑所得を生ずる貸付金、ロイヤルティーを生ずる著作権、秘密工程の提供乃至は技術の提供がこれである26

昭和26年当時の取り扱いでは財産の所在を定めてその所在の地理的帰属を決定する現行法の建前を変更しない前提に立つとしている。株式又は出資については発行者の本店所在地を貸付金については発行者・本店所在地を貸付金については債務者の住所地を、著作権、秘密工程乃至は技術提供についてはその権利の行使される場所、あるいは対価の支払を為す者の住所地を以て資産の所在と定めており、所得発生地主義を原則とする所得税又は法人税となっている。

第3節 法施行地にある事業の範囲

外国人・外国法人に対する課税について、占領期間の終了が見えてきたのか、日本の独立を前にして当時において外国人・外国法人に対して課税する準備をすすめていた。外国と自由に貿易ができるようになることで、外国法人からの事業所得が発生することになる。国税庁の安川氏による解説により、当時の外国法人の事業所得についての法人税法上の解釈が示されている27

外国法人が法施行地にある事業所得について、どのような事業に課税するのか、またその事業に帰属する所得とはなにか検討を行っている。問題点としては2つ挙げられている。⑴ 事務所等のない場所に法施行地にありとされる事業活動の範囲、⑵ 事務所等のある場合にその事務所等に帰属せしめるべき事業活動の範囲である。これらをどのように分析していくか、当時の見解は次の通りである28

第1項 事業活動における4種類の要素

事業活動について、4種類に分類し説明を行う。まず、はじめに主に事業活動の性質内容を4種類に類型化し事業活動について、第2段階として事業有りか無しかを判定している28

第1-1 エージェントの扱い方法。エージェントはその代行者又は代理者としての性格、機能及び与えられた権能の深浅軽重の程度に従って、それを通して行う事業活動は法施行地にある事業とされることが妥当と認められる。例えば常設の総代理店で契約を為す権能を与えられているものなど。

第1-2 エージェントが行う取引行為について。契約の締結される場所が事業の為される場所を定める優先的な基準であり契約定締結地が確定し難しいか又は実体と乖離して不適当と認められる場合は、取引される商品等が販売される場所を以て事業の為される場所を定める次順の基準とされる。契約締結地は通常そのために為される実質的な一連の行為のうち最終的な行為をもって判断され販売の場所は商品等が市場に提供される場所乃至は所有権が移転する場所をもって判断される。

第1-3 経営の中枢が存在する場所。事業活動を統括し指揮命令を発する経営の中枢が存在する場所をもって事業のなされる場所を定めること。経営の中枢A地にあれば現実の事業活動の行為がB地にあっても当該事業活動はすべてA地にあるものとされるべき見方がある。

第1-4 事務所の性格及び機能の分析例外的な問題として事務所の性格及び機能を考慮に入れる必要がある場合がある。即ち純粋に宣伝広告のための事務所販売された商品等の保守修理のための技術者のための事務所等で取扱商品等の取引場所とはほとんど関係がないか又は極めて軽度の関係しかないものの場合は、事務所がある故をもって取引自体に関する事業活動ありとすることには無理がある。

そして第2段階として、上記で事業があるかないかの判定を行い事業の有無の程度を次の3種類に分類されている28

第2-1 「法施行地との間に行われるもの」原則的に事業なし。法施行地に事務所がないか又は前掲第1-4のように事務所を設け、あいはエージェントを通ずる取引はあるが、そのエージェントは所謂コミッション・エージェントとして前掲第1-1に述べたエージェントの類型に該当しない場合乃至は通信販売の方法に依る取引で前掲第1-2の基準が適用しがたい場合がこれに該当する。

第2-2 「法施行地内部に対して行われる事業」原則的に事業ありとされるもの。法施行地に通常の事務所、事業所又は支店を設け、あるいは前掲第1-1に述べた類型のエージェントを通じて取引を行う場合がこれに該当し、その法施行地にある事業の範囲については限界線上にある事業活動に関してのみ前掲第1-2の取引について基準が適用され、従って事業なしとされる例外的な取引が法施行地の事業からは除かれる場合があり得る。

第2-3 「法施行地内部において営まれる事業」全く事業ありとされるもの。法施行地にある事務所、事業所又は支店等は実質的にその事業主の全企業経営の中枢であるか又は特定地域全般に対する独立的な経営上の権能を与えられた支店等がこれに該当し、その法施行地にありとせられる事業の範囲については、その経営上の指揮権の及び範囲においてこれを法施行地のものとされる。従って事業活動の現実の行為の為される場所が施行地内外にわたることは問わないのである。

このような考え方は租税法の適用に関する法的安定性と行政上の技術的な限界や特殊な業種(例えば銀行業、保険業、運輸通信、出版報道、映画事業、経理会計士業等についてはそれぞれ個別の基準を設ける必要があるとしている)において、これら若干の問題点はあるものの安川氏は「原則的な基準を設定するためのものとしては許容されるであろう」と評価している29

第4節 外国人・外国法人の法施行地にある事業所得の課税標準の計算について

第1項 事業所得計算上の問題点

外国人および外国法人の事業所得について共通の問題と考えられるのは次の通り2点でであるとされた30

第1 総収入金額には総益金に算入されるべき収入について、これを算入すべきでないものと明確に区別する必要があることである。課税対象は「法施行地にある資産又は事業の所得」に限定されるから、現実に法施行地において資金決済が行われて収入されていっても除外すべきものが生じ、逆に外国において資金決済が行われ外国に於いて収入にされて現に法施行地の諸帳簿に記録されていないものでも算入すべきものがあることとなる。従ってその法施行地に関連のある企業活動のうちより法施行地に税法上ありとされる資産又は事業の範囲を明瞭にした上で、その資産又は事業より発生した収入金額を確実に把握するためには、事業活動自体の原資記録に基づいて基本的な事実を確認し、これをもって経理上の記録を検証して調整を要するから、単に法施行地にある財務記録に止まらず外国にある本店等の総合的な財務諸表或いは明細表を必要とする場合が多いと共に収入の区分整理の手続を欠くことができない。

第2 確認された収入についてその所得計算を如何にするかという点である。法施行地にある資産又は事業に、それらに発生する所得の何ほどを帰属せしめ課税対象とするかということであって、前述の資産又は事業自体の法施行地に対する帰属の認定と平行して更に所得がどこで生じたかの判断を要するのである。

外国法人の所得の計算方法は、法人税法第11条に規定されている。法人税法第11条は、「この法律の施行地に本店または主たる事務所を有しない法人でこの法律の施行地に資産または事業を有するものの各事業年度の普通所得は、この法施行地にある資産または事業について、第9条の規定に準じて計算した金額による」として、法人税法第9条を用いている。法人税法第9条は「各事業年度の総益金から総損金を控除した金額による」としている。つまり、事業所得に関しては、内国法人と外国法人では、同じ規定を用いていたのである。

第2項 法施行地にある事業所得の計算方法

法施行地に事業ある場合に問題となるのは、その事業所得の計算である。大きく分けて次の3つの方法に分けられている31。第1は独立計算方法で国際的に広く認められた計算方法(以下「独立計算方法」という)である。第2は独立計算が不可能な場合(以下「(独立計算が不可能な場合)」という)、第3は銀行、保険業などの特殊な業態についての計算方法(以下「特殊な業態の計算方法」という)である。

第1 独立計算方式法施行地にありとされる事業の独立計算の問題であって、損益を能う限り厳密に計算して法施行地外の事業と損益の通算を行わない立場に立つものである。この計算方法は外国人課税の通念とされ又国際的に広く認められ採用されている。この場合においてはその業種業態によりしてこのような分離計算を可能とする場合に限られるのであるが「損益が何処で何程生じたのか」については次の3種類の基本的な点がある32

第1-1 商品又は商品の売却により生ずる利益についてである。まず商品の販売利益はその仕入れ価格が公正なもとした場合には販売された場所において販売行為に全額が帰属せしめられることが一般に採用される原則である。従って仕入れ行為に帰属する利益はないこととなるが、仕入れ条件が特に有利であった場合は勿論、通常の仕入れ行為についても利益の一部を帰属せしめられてよいとする論があり、独立した仕入れ代理店のコミッションを想定してそれに相当する率を基準とする方法も考慮される。次に製造業がその製品を販売する際の利益はこれを製造利益と販売利益より構成されるが製品が販売された場所において販売行為にこの双方の利益全部が帰属せしめられるべきか、或いは販売行為は販売利益についてのみ寄与するものであり、製造地が販売地と異なるときは、製造利益は製造地に帰属せしめられるべきかは特に議論のあるところであるが、通念としてその後者を採用する例が多いようであり合理的であると思われる。

第1-2 法施行地にある支店等の独立採算性である。納税者がその経理慣行上法施行地外の本店等との間に独立採算制を採用している場合に、内部計算基準を税務計算上是認し得るか否かの問題であって、本支店間の商品等の移転につき計算上の価格を設けされには綜合利益そのものの配分の基準の如きは慎重に検討されねばならない。もし独立の商社であれば当然そこに定まるまであろう如き価格乃至は世界的にその業界の永年の慣行として認められている収益配分の基準の如きものであるならば、これを容認すべきであろうと思われる。

第1-3 経費の計算である収入について。法施行地にある資産又は事業の収入金額とされるものとし然らざるものがある以上、課税標準に算入された収入に対応する直接又は間接の費用を計上することは当然である。法施行地において支出されて。経費であっても法施行地外にあるとされる事業に直接間接に対応するものがあり、逆に外国にある本店等で支出されているもののうちに法施行地の事業に直接、間接に係るものがある。従って、経費についてその使途別に検証した収入に直接対応する性質のものは可能な限りこれを厳密に区分取捨すると共に、役員の報酬、一般の営業費、管理費のうち法施行地内外の資産又は事業の双方に係るものがあるときはこれを一定の方式で配賦しなければならない。配布の方式は一般に課税標準に算入される収入金額と当該企業の全体の収入金額との比率が採用されるが、業態、経費の性質あるいは経理上の制約に雇用人数、取扱商品等の物量その他の係数で表された事業量或いは資産価値等の数字が使用される場合がある。本店勘定を通鶴経費の振り替えは法施行地にある支店等の所得を分散する有力な手段であるから以上に述べたことはこれに最も適切に当てはまるものである。

第2 独立計算が不可能な場合独立計算が実際上不可能である場合にこれに代えて法施行地にある事業の所得を推定することである。4種類の算定方法が提示されている33

第2-1 法施行地の内外を問わず納税義務者たる企業主の事業についてその総収入金額に対する粗利率を算定し、これを前述した法施行地にあるをせられる事業の収入金額に乗じて粗利益を算出し、次いで法施行地にある事業に関する間接費等粗利益率算定のとき考慮されなかった経費を差引いて所得を決定する方法。

第2-2 企業全体の事業についてその総所得金額を決め次いでこれに対して法施行地にあるとせられる事業収入金額と企業主の総収入金額との比率、又は法施行地にある事業のための資産価値と企業主の事業のための総資産価値との比率乃至はその他の比率を乗じて所得を決定する方法。

第2-3 法施行地にあるとせられる事業の収入金額に同種同業態の企業について求めた所得標準率を乗じて所得を決定する方法

第2-4 法施行地において収入された収入金額に対して税務当局と納税者間に協定された一定の率を乗じて税額を決定する方法等

第3 特殊な業態の計算方法推定方法をとる場合はともかくとして、独立計算法についてはこれを銀行保険業、運輸通信業、経理会計士業等の特殊な業態のものに適用する場合は習慣と実態に即してここに所得計算の原則を定める必要がある34

外国法人の事業所得の計算方法として、当時「国際的に広く認められた計算方法」として「独立計算方法」と明示し計算方法を示している。法人税法第11条の解釈として第9条に独立計算方法が採用されていたことが明らかになった。

第5節 まとめ

外国人・外国法人の所得の計算方法について紹介した。安川氏の説明では当時、国内税法において外国人・外国法人に対して特別な規定がないと理解することができる。これらの計算方法は法人税法第11条について外国人・外国法人において説明されたものである。安川氏によれば当時はまだ外国人課税については「課税の実績はまだ検討の域に達していない」としている35。また外国法人の所得計算に関する規定として、昭和26年には法人税法施行規則第19条の7では外国法人の資産取得についての費用の内外配分が規定されていた。

おわりに

戦後の日本における、外国人・外国法人に対する課税の問題について概観した。昭和21年に所得税法人税内外地關渉法、日滿二重課税防止の法律、日滿國税徴收事務共助法が廃止されたが、外国人・外国法人に対する国内税法は昭和15年改正を基本として大きな変化は昭和22年から27年には加えられていなかった。当時の外国人・外国法人の課税関係をとくに複雑にしているのは占領期における外国人・外国法人に対する課税主権行使に関する問題である。外国法人は軍隊と取引している場合もありその場合は軍属として関係者になるため、課税されないとの主張もできた。GHQ の覚書は多岐にわたり、占領下における外国人・外国法人に対する課税について、ここで紹介できたのは一部である。外国人・外国法人に対する課税の再開については、GHQ 主導で再開されたように見えるし、外国人・外国法人に対する所得税及び法人税法の解釈は、シヤウプ使節団の影響を受けていないと考えることができる。つまり、昭和25年の外国人・外国法人の課税の再開は、きっかけはGHQ の覚書で始まり、その内容はシャウプ使節団の影響を受けていないと考える。

脚注

1 増井良啓「非永住者制度の存在意義」ジュリスト1128号(1998年)107-114頁。

2 赤松晃「国際課税分野での立法」(金子宏『租税法の発展』(有斐閣・2010年)所収)115頁。矢内一好『日本・国際税務発展史』(中央経済社中央経済グループパブリッシング(発売)・2018年)。所得課税については渕圭吾『所得課税の国際的側面』(有斐閣・2016年)がある。

3 GHQ の覚書の変遷については次の文献を参考にした。安川七郎「外国人課税の諸問題」財政16巻11号(1951年)26頁。租税法研究会『租税法総論』(有斐閣・1958年)104-105頁。

4 次の文献を参考にした。安川・前掲注3)33頁、租税法研究会・前掲注3)104-105頁。

5 金子宏『租税法[第22版]』(弘文堂・2017年)53-55頁。

6 「シャウプ勧告の意義」は金子・前掲注5)59頁参照。

7 次の文献にも同様の内容が記載されている。大蔵省財政史室『昭和財政史:終戦から講和まで』(東洋経済新報社・1976年)263頁。

8 金子・前掲注5)53-55頁。

9 「昭和23年度税制改正の方針は、法人税については産業の振興、外資導入、株式の大衆化等を図るため法人の負担の軽減を図るとともに、税制の簡略化、手続きの簡略化等の見地から特別法人税を法人税に統合することであった。これらの税制改革を通じて外国人ないし外国法人に対する課税原理そのものは殆ど変化がなく税率が若干修正されたのみであった。」

「昭和23年7月の所得税法の一部改正において外国人(外国法人を含む。)に対する利子、配当、給與、退職等の所得は他の所得と区分して一律に20%の源泉徴収を行うこととし、日本人等に対する源泉徴収との差別取り扱いを排除した事実である。」

「昭和23年の改正に際し、本店所在地以外の地をもつて納税地として指定することができることとなった関係もあり、また外国法人の納税地を明らかにする必要もあって法人税の納税地に関す明文の規定が設けられるに至った。すなわち第46条の3において納税義務がある法人の本店または主たる事務所の所在地を納税地とすることに定められ、また税法施行地に本店又は主たる事務所を有しない法人で施行地に資産または事業を有するものは納税地を定めて政府に申告しなければならいないものとし、申告がないときは政府がその納税地を指定することと規定された。」(雪岡重喜=大蔵省主税局調査課『所得税・法人税制度史草稿:調査資料』(1955年)203頁)。

10 赤松・前掲注2)116頁。

11 忠佐市「外国人に対する課税上の諸問題」財政経済弘報120巻(1949年)4頁。

12 非日本人について、忠氏は、「外国人、つまり日本国籍を持つ者を除くすべての自然人及び法人」と説明している。忠・前掲注11)4 頁参照、次の文献にも説明がある。租税法研究会前掲注3)102頁。

13 赤松・前掲注2)116頁。

14 赤松・前掲注2)116頁、金子・前掲注5)53-55頁。

15 大蔵省『戦後財政史資料忠文書外国人課税往来』(国立公文書館所蔵・1947年)。

16 印刷不鮮明のため〓としている。以下同じ。

17 資料からは、両氏の発言の区別がされておらず、永原氏か塩崎氏の発言かどうかは、不明である。永原純夫・平田敬一郎「シャウプ勧告をめぐる経緯」大蔵省大臣官房調査課『戦後財政史口述資料』(東京大学経済学図書館・経済学部資料室所蔵・1951年)32頁。

18 忠・前掲注11)4 頁。

19 昭和25年に法人税法第2条において「内国法人」という用語が条文に明記された。「この法律の施行地に本店又は主たる事務所を有する法人」を「前条第1号に掲げる法人(以下内国法人という。)」に改められた。

20 忠・前掲注11)4 頁。

21 安川・前掲注3)26-34頁。安川七郎「外国人課税の諸問題(完)」財政16巻12号(1951年)33-41頁。

22 安川・前掲注3)28頁。

23 安川・前掲注3)28頁。

24 安川・前掲注3)28頁。

25 安川・前掲注3)33頁。

26 安川・前掲注3)33頁。

27 安川・前掲注21)34頁。

28 安川・前掲注21)34頁。

29 安川・前掲注21)34頁。

30 安川・前掲注21)36頁。

31 安川・前掲注21)36-38頁。

32 安川・前掲注21)36-38頁。

33 安川・前掲注21)36-38頁。

34 安川・前掲注21)36-38頁。

35 安川・前掲注24)41頁。

References
  • 大蔵省『戦後財政史資料忠文書外国人課税往来』(国立公文書館所収・1947年)
  • 大蔵省財政史室『昭和財政史:終戦から講和まで』(東洋経済新報社・1976年)
  • 金子宏『租税法の発展』(有斐閣・2010年)
  • 金子宏『租税法[第22版]』(弘文堂・2017年)
  • 租税法研究会『租税法総論』(有斐閣・1958年)
  • 忠佐市「外国人に対する課税上の諸問題」財政経済弘報120巻(1949年)
  • 永原純夫・平田敬一郎「シャウプ勧告をめぐる経緯」大蔵省大臣官房調査課『戦後財政史口述資料』(東京大学経済学図書館・経済学部資料室所蔵・1951年)
  • 増井良啓「非永住者制度の存在意義」ジュリスト1128号(1998年)107-114頁
  • 渕圭吾『所得課税の国際的側面』(有斐閣・2016年)
  • 安川七郎「外国人課税の諸問題」財政16巻11号(1951年)26-34頁
  • 安川七郎「外国人課税の諸問題(完)」財政16巻12号(1951年)33-41頁
  • 雪岡重喜=大蔵省主税局調査課『所得税・法人税制度史草稿:調査資料』(1955年)
  • 大蔵財務協会『法人税取扱通達集』(大蔵財務協会・1953年)
  • 大蔵財務協会=坂野常和『最新法人税通達集』(大蔵財務協会・1959年)
  • 租税法研究会『租税法総論』(有斐閣・1958年)
  • 大原一三「租税特別措置法の改正――法人税関係」時の法令569号(1966年)19-32頁
  • 佐藤春亥「外資導入と課税上の問題点」経済連合57号(1952年)284-288頁
  • 佐藤春亥「外資導入と課税- 2」貿易界42号(1952年)19-21頁
  • 佐藤春亥「課税面からみた外国技術の導入」税と財9 巻9 号(1952年)11-14頁
  • 佐藤春亥「外国資本のわが国租税法上の地位」金融76号(1953年)4501-4506頁
  • 佐藤春亥「租税特別措置法の一部改正」税と財10巻2 号(1953年)11-15頁
  • 佐藤春亥「租税特別措置法の一部改正解説」財政経済弘報562号(1956年)
  • 佐藤春亥「居住外国人に対する所得課税の特例- 1」財政経済弘報561号(1956年)
  • 佐藤春亥「居住外国人に対する所得課税の特例- 2」財政経済弘報562号(1956年)
  • 増井良啓「非永住者制度の存在意義」ジュリスト1128号(1998年)107-114頁
  • 三浦弘次「戦後日本の産業政策:「外為法」および「外資法」の運用をめぐって」一橋研究15巻1 号(1990年)75-96頁
  • 牟田口道夫「外資に関する法律の規定に基く認可の特例に関する政令解説」
  • 財政経済弘報268号(1951年)10頁
 
© 2019 本論文著者
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