爬虫両棲類学会報
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水場から離れた高山で見つかったアカハライモリの形態や行動の特異性
小林 朋道
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2007 年 2007 巻 2 号 p. 120-126

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抄録

2005年8月および9月に, 鳥取県と兵庫県にまたがる氷ノ山 (標高1510m) の頂上付近の登山道で, 雌のアカハライモリ Cynpos pyrrrhogaste 2匹発見した.発見場所の近くには水場はなく, 最も近い水場 (谷川の水源地および湿地沼) でも, 1km近く離れていた.いずれのイモリも, 四肢や指の形態, 体表の状況, 行動などに, 平地の水場で見られるイモリとは異なった, 陸上活動への影響と推察される特徴が見られた.例数は少ないが, アカハライモリは, ブナ林のような腐植層が発達した陸地であれば長期間生きていけるという可能性, また, 雌は繁殖水場を離れ, かなり遠くまで移動する性質があるという可能性を示唆する事例である.

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