爬蟲兩棲類學雑誌
Online ISSN : 1883-4493
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奄美群島産アカマタの食性に関する研究
三島 章義
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1966 年 1 巻 4 号 p. 75-81

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抄録

1959年9月から5年間にわたり,奄美群島産アカマタの自然界における捕食物を調査し,更に実験的観察をも加えてアカマタの食性を考察し,以下の知見を得た。
1) アカマタの自然界における食餌動物の種類として,6科・8属・10種を報告した。これを綱別にみれば,爬虫類の4科・6属・7種;両棲類の1科・1属・2種;魚類の1科・1属・1種となっている。
2) アカマタの食餌動物として,新しく6種を記載した。
3) 本調査で得られた捕食例数は19例で,その綱別捕食率は爬虫類が78.9%(15)で最も高く,ついで両棲類の15.8%(3);魚類の5.3%(1)の順となっている。
これらのうちで蛇類が全体の63.2%(12)を占めており,アカマタがこれらの蛇類を中心とした爬虫類を好食していることを指摘した。
4) 捕食例中,毒蛇のハブ属が全体の31.6%を占めていることから,アカマタとハブとの関係を解析し,アカマタがハブの天敵としての役割を果していることを指摘して,アカマタの保護対策が必要なことを提唱した。
5) アカマタの食物調査から,魚類の1新種が得られたことを報告した。

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