抄録
冬眠期間を除いて毎月1回野外で採集したエゾサンショウウオを用いて,精巣,脂肪体,ウォルフ管の季節的変化を解剖・組織学的に観察した.5月上旬の繁殖池に入る直前の個体では,精巣小葉の一部で排精が始まりつつあった.生殖活動を終わって上陸した個体の精巣小葉の腔は空虚で,精原細胞の増殖が始まっていた.精子は8月に現れ,9月半ばではすべての精巣小葉で精子形成は終了していた.精巣は6月に最小,8月に最大で,その重量比は1:25であった.ウォルフ管の発達は繁殖期の入水前の個体でもっとも著しく,7月下旬の個体では糸状であった.