爬虫両棲類学雑誌
Online ISSN : 1883-4493
Print ISSN : 0285-3191
日本産爬虫類5種における骨格筋線維の酵素組織化学的性質
真鍋 昇佐藤 英明丸山 一子石橋 武彦
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1981 年 9 巻 2 号 p. 33-45

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抄録

イシガメ,ヤモリ,シマヘビ,アオダイショウおよびヤマカガシの骨格筋における筋線維型構成,各種の筋に含まれる各筋線維型の比率,筋線維の太さ,ミオシンATPase活性のpH安定性などについて検討したが,得られた結果は次の通りである。
1.組織化学的に調べた酵素活性の対応関係により筋線維型をSO型,FOG型およびFG型の3種のメインタイプに分け,さらに酵素活性の強弱に基づいてSO型とFOG型を4種に,FG型を3種の計11種類に細分して検討したが,イシガメはそれらのうち3~5種類,ヤモリは4~6種類,シマヘビ,アオダイショウおよびヤマカガシでは3種類の筋線維が観察された。
2.ヘビ類の舌筋はSO型およびFOG型の筋線維よりなり,FG型の筋線維は観察されなかった。
3.各筋線維型の構成比率はイシガメやヤモリではFG型が極めて多くて60%以上を占める。ヘビ類では舌筋でFOG型が多く,咬筋の浅および中層ではSO型が多い。軸上筋ではSO型が多いが,軸下筋ではむしろSO型は少なくなっている。
4.筋線維の太さは筋線維型によって異なり,一部の筋をのぞいてFG型筋線維が最も太く,ついでFOG型であり,SO型が最も細い傾向にあった。
5.ミオシンATPase活性のpH安定性は筋線維型によって異なっており,イシガメやヤモリではSO型で酸性域での安定領域は広く,FOG型やFG型ではアルカリ性域での安定領域が広くなっている。ヘビ類ではFOG型がもっとも酸性域での安定領域が広いのが特徴的である。

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