日本保健福祉学会誌
Online ISSN : 2424-0036
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父親の子育てと家庭生活の実態に関する研究 : 大阪を中心とした日本人と在日韓国・朝鮮人の比較
蛭田 由美[チョウ] 裕美西野 英子
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2005 年 11 巻 1-2 号 p. 65-77

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抄録

大阪を中心とした日本人の父親100名、在日韓国・朝鮮人の父親74名を対象に子育てと家庭生活に関する意識調査を行い、民族的な特徴について分析した。その結果は次のようであった。1)家庭生活全般にわたって、日本人と在日韓国朝鮮人の父親に大きな違いはみられず、子育ての多くを母親が担っていた。2)日本人は在日韓国朝鮮人に較べて、子供との関わりは多いが心理的な距離感を持っている父親が多かった。3)在日韓国朝鮮人は日本人に較べて、子供との関わりは少なかったが、子供との心理的な距離感を持つ父親は少なかった。4)在日韓国・朝鮮人3世は2世に比べて子育てに積極的であった。5)在日韓国朝鮮人は儒教精神を受け継ぎ、儒教的家族における確たる父親像を持っていた。6)日本人は明確な父親像を持たず、新しい父親像を模索していると推測された。日本人と在日韓国朝鮮人の父親の子育ては変化しており、この変化は一層進むものと考えられる。

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© 2005 日本保健福祉学会
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