日本保健福祉学会誌
Online ISSN : 2424-0036
Print ISSN : 1340-8194
利用者満足度を高めるための在宅ケア内容に関する研究
難波 貴代
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2005 年 12 巻 1 号 p. 13-22

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抄録

在宅サービスの評価に関心が高まっているが、評価には客観的な側面だけでなく、主観的な側面の評価も重要である。そこで利用者満足度を評価することによって、看護ケア見直しの一つになると考えた。本研究においては、(1)利用者満足度とケア内容との関連を分析し、利用者満足度に影響するケア内容を明らかにする、(2)利用者満足度と利用者条件との関連を分析する、(3)以上の結果から利用者満足度を高めるケア内容について考察することを目的とした。調査対象者および機関は、Y市の4機関計191名を対象者とし調査対象者116名となった。さらに未記入者22名、代理回答者13名を除外し分析対象者は81名とした。利用者満足度項目とケア内容について、「入院・入所を回避することができた」については、医師と家族のパイプ役を果たすなどの間接サービスによるケア内容が実施されていると満足率比が1.84倍から2.84倍、身体を清潔にするなどの直接ケアが実施されていると満足率比が1.42倍から1.96倍であった。「在宅サービスの回数や時間帯」は、ケアマネジャーとの情報共有や調整という間接サービスのケア内容が各々1.3倍、「金額に見合ったサービス内容」は、利用者の心配や悩み事を聞くケア内容の満足率比が1.8倍であった。「在宅サービス担当者間の説明や方針の一致」は、マニュアルを用いて説明する等に1.3倍であった。利用者満足度と利用者条件について、「入院・入所を回避する」は、移乗と移動に介助を要する利用者の満足率比が1.5倍、1.4倍であった。在宅において、在宅サービス提供者は単独で行動をするのではないため、他職種との連携をとることは重要である。また利用者が在宅生活をしていくためには、予防的な直接ケアなどを効果的に提供することも必要である。さらに在宅サービス提供者は、ケアマネジャーと情報共有や調整を図り、良好なコミュニケーションをとり、利用者のニーズに正確にかつ迅速に判断することが必要である。

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© 2005 日本保健福祉学会
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