日本保健福祉学会誌
Online ISSN : 2424-0036
Print ISSN : 1340-8194
共依存関係にもとづく高齢者虐待への看護介入
難波 貴代北山 秋雄
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2006 年 12 巻 2 号 p. 25-32

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抄録

被介護高齢者と主介護者間における共依存関係に着目した高齢者虐待の研究は、海外や国内においても十分に研究がなされている状況にない。そこで本研究は、不適切な介護を行う介護者の行動に着目し、介護者の特徴と被介護高齢者と共依存関係にある介護者への看護介入について検討を行うことを目的に訪問看護師2名から1事例の問題状況・看護介入・介護者の反応について面接を行い、逐語録を作成し分析を行った。結果、不適切な介護をする介護者の特徴には(1)訪問看護過程で被介護高齢者と信頼関係を形成するのは困難、(2)被介護高齢者との思いが一緒であり、意思決定権は自分にある、(3)被介護高齢者、専門職をコントロールしようとする、(4)専門職がコントロールできないと不平不満を述べる、(5)過去の「母親像」と現在の「母親像」のギャップがある、(6)疲労が増強すると、一時的に外部に目を向ける。介護者に対する看護介入に(1)家族全体の力動をみる、(2)過去の「母親像」と現在の「母親像」について話し合う、(3)被介護高齢者の身体状態によっては、一時的に施設入所を図る、(4)専門職間の連携を図ることが示唆された。

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© 2006 日本保健福祉学会
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