日本保健福祉学会誌
Online ISSN : 2424-0036
Print ISSN : 1340-8194
地域高齢者の家庭内役割とQOLの関連
佐藤 美由紀齊藤 恭平芳賀 博
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 17 巻 2 号 p. 11-19

詳細
抄録

本研究の目的は、地域高齢者における家庭内役割とQOLの関連を明らかにすることである。北海道の農村において65歳以上の在宅高齢者947名を対象に、配票留置き調査を行った。分析には6項目の家庭内役割と地域高齢者のためのQOL質問表を用いた。家庭内役割とQOLとの関連の検討は、家庭内役割を説明変数、QOL得点を目的変数とした重回帰分析を行った。年齢が高くなると家庭内役割の実施割合は低下するものの、多くの者が高齢期においても役割を実施していた。85歳以上でも男女ともに6割以上が実施していた役割は「庭・菜園の管理」「神棚・仏壇の管理」であった。女性ではこれらに加えて、「食事したく」「近所つきあい」も6割以上の実施割合であった。6領域のQOLのうち『生活活動力』と『精神的活力』は、ほとんどの家庭内役割と有意に関連していた。一方、うつ的な気分の低さを表す『精神的健康』や『経済的ゆとり満足感』は家庭内役割の実施の有無と関連が弱かった。高齢においても実施可能な役割を見出し、期待することにより、高齢者が何らかの役割を担うことが可能であることが考えられた。家族や地域社会が高齢者の役割を見直し、創造するための仕組みをつくる必要性が示唆された。

著者関連情報
© 2011 日本保健福祉学会
前の記事 次の記事
feedback
Top