抄録
保健福祉学が対象とする人間は、環境に積極的に働きかけ自分自身を変化させながら、一生涯、成長発達する存在です。ある意味では、生涯にわたり自分と環境のエンパワメントを継続すると言っても過言ではありません。この変化しつつ発達する道筋を、生涯発達ダイナミクスといいます。生涯発達ダイナミクスは、plasticity(可塑性、しなやかさ)、diversity(多様性)、holitic(全体性)のたまものです。なぜなら自分と環境を変える力がplasticityであり、それはdiversityの中でより加速され、holisticな営みとして統合されるからです。本稿ではさまざまな研究成果をご紹介するとともに、保健福祉学の今後の展開を探っていきます。