2022 年 29 巻 1 号 p. 15-23
目的:産後における夫婦の家事分担スタイルと妻の生活の質(Quality Of Life: QOL)の関連を明らかにする。
方法:いばらきコホート調査(茨木市で母子健康手帳を受け取った妊婦)の参加者の中から産後3か月調査に回答した者(n=105)を分析対象とした。産後3か月調査における夫婦の家事量(21世紀出生児縦断調査で使用された家事6項目の合計点)と妻のQOLを変数として使用した。
結果:まず,妻と夫の家事量について階層的クラスタ分析を行い,「妻負担型」「分担型」「夫負担型」「家事限定型」の4つの家事分担スタイルを見出した。その後,妻のQOLを従属変数として家事分担スタイルによる1元配置分散分析を行った結果,妻のQOLは分担型>妻負担型(p<.01),夫負担型>妻負担型(p<.05)であった。
結論:産後の家事分担には,これまで指摘されてきた「妻負担型」だけでなく,夫が家事を分担する「分担型」や,夫が主たる家事の担い手となる「夫負担型」,夫婦ともに家事量の少ない「家事限定型」もあることがわかった。産後の妻のQOLを支えるにあたって,夫による実質的な家事分担が有効と示唆された。