抄録
国際バイオフィリアリハビリテーション学会を代表してIBRC2016 開催に当たり、一言ご挨拶申し上げます。
今回の大会はジュネーブで開催されます。開催の目的は次の2 つです。1.ジュネーブに本部のあるWorld Health Organization(WHO)へ障害の克服が可能であり、その手法の研究がすすんでいる事実を知らせること、2.今後「経験から科学へ」より一層その内容を高めるにあたり、WHO と共同して研究活動ができるように協調を働きかけることです。
我々は日頃ご指導、ご協力いただいている厚生労働省と同省関連法人のご期待にお応えできるよう、日々力を尽くしております。そして今回は厚生労働省のご支援を得て、WHO から講演者をお迎えすることになりました。第一の目的は達成できたものと思われます。
我々はリハ医学の再構築が必要との立場で、多年研究を続けてきました。歩行の再獲得や生活自立の再獲得事実を明らかにし、可能な限り機序の仮説とその証明を明らかにしています。 7 月のジュネーブ開催は、当初大会長を予定していたISPRM 女性健康委員長・タイ王国テラコンロン大学アリラット教授の希望でした。私たちは若く有能で、野心にあふれた彼女に期待していました。結果として何か事情があったようで大会長を務めきることができませんでした。しかしその間に、ISPRM へ対して、多年リハ医学の再構築を実現する研究を推進する団体があることを知らせ得たのは一面では大きな成果でした。
今後ますます高齢者が増えます。人類史上初めて人口ピラミッドが逆転する時代になるのです。どのように扶養するか、高齢者が充実した生活をするためにはどうすべきか。社会保障における諸課題や、生命の自己実現の視点における課題も山積しています。
私たちは高齢者がいつまでも自立生活ができるようにリハ医学改革するべく研究を続けております。冒頭に述べた第2 の課題として、研究は新たな次元へ進もうとしています。
この学会の最初の大会は2002 年開催で、北マリアナ諸島連邦政府との共同開催でした。そこでの私の基調講演は、「高齢者の増加を負の要因としない新たな文明の構築」が題名でした。慶應義塾大学理工学部田中敏幸教授を大会長にお迎えした今回の大会が真の意味で、この表題を可能にする大会になることでしょう。
そして参加者にとり有意義であり、さらに人類に大きな貢献ができることを期待しています。 この開催を皆さんと共に心から祝いたいと存じます。