伊那谷自然史論集
Online ISSN : 2424-239X
Print ISSN : 1345-3483
飯田市南信濃の四万十帯白根層群から見つかった魚卵状石灰岩
村松 武
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研究報告書・技術報告書 オープンアクセス

2017 年 18 巻 p. 15-24

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抄録

飯田市南信濃和田の東南東3.5km に位置する,赤石山地南部四万十帯白根層群遠山累層のチャート−緑色岩の露頭から魚卵状石灰岩が見つかった.魚卵状石灰岩は厚さ5 〜10㎝の2 枚の単層からなり赤色チャート・シルト岩中に50cm の間隔で整合的に挟まれていた.近接してウーイドを含む火山性極粗粒砂岩も見つかった.これらの岩石の特徴を主に切断面と顕微鏡下で観察した結果,魚卵状石灰岩はウーイド・石灰岩片・火山岩片の粒子から構成されるウーイド質グレインストーンであり,乱泥流堆積物の特徴をもつことが分かった.また赤色チャート・シルト岩に整合的に挟まれていることから,この魚卵状石灰岩は火山島周囲で形成された粒子が乱泥流として海底斜面を流れ下って半遠洋域に堆積したものと推定した.

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© 2017 飯田市美術博物館
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