2021 年 22 巻 p. 31-40
松川町の天竜川に架ける新宮ヶ瀬橋の建設に先立って,馬坂地区で行った長野県埋蔵文化財発掘調査で出現 したトレンチ内の地層を観察した結果,片桐松川が天竜川に合流する付近の土砂が特異な堆積作用をしている ことを突き止めた.その堆積作用によって片桐松川から運ばれた土砂は天竜川の沖積平野に扇状地性の段丘を 形成していることが判明した.さらに,新宮ヶ瀬橋の建設関連事業として行われた新たな道路建設に伴って, 馬坂地区に埋没した古い段丘が出現し,馬坂面が複合した段丘で形成されていることが分かった.これらの形 成過程を考える.