医科器械学
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コードレス心電図モニタリングシステムの開発
松村 文幸高橋 巌稲井 隆関口 哲志坂田 博史大野 浩平
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2003 年 73 巻 4 号 p. 199-

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抄録

迅速な心電図導出,並びに患者周辺のコード類が交錯する状況(スパゲティシンドローム)の解消を目的とした,専用電極と一体となる超小型送信機と専用受信機で購成するモニタリングシステムを開発したので報告する.超小型送信機を,2つの電極が一体となった専用のシートタイプの使い捨て電極に直接取り付け,これを患者の胸部に貼り付けて使用する.送信機は専用電極の2電極間に生じた心電図を導出・増幅処理し,送信機識別IDデータとともに微弱無線により送信を行う.送信機の患者装着部の安全性は,除細動器使用時の安全を考慮し,lEC60601-1で定められた耐除細動形BF形装着部とした.また電池は一般的に入手可能なボタン電池(PR44)が使用可能であり,電池寿命は連続5日間である.専用受信機は目的のチャネルの電波を受信し,まずIDデータのチェックを行う.受信したIDデータが目的の送信機のIDデータと一致した場合,復調処理した心電図を受信機の心電図出力コネクタより出力する.IDデータが一致しない場合,目的以外の電波と認識し心電図は出力しない.受信機の心電図出力コネクタは弊社電極リード線と同一形状のため,受信機と弊社有線式モニタ間を,心電図中継コードを介して接続できる.これにより既存の有線式モニタの心電図計測を本システムと使用することにより容量に無線化することができる.[結論]本システム開発により,迅速な心電図導出が可能となるとともに,患者周辺のスパゲティシンドローム解消を目的とした心電図モニタリングシステムを構築できた.今後,他の測定パラメータに関しても同様のコンセプトで開発検討していきたい.

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© 2003 一般社団法人日本医療機器学会
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