抄録
水田の農業活動による増水期が, 土水路とコンクリート水路における物理環境と有機物質に, どのような影響を与えているのかについて調査検討した. 増水期前には, 底生動物によって生活環による増加や減少が確認された. 増水期には, 特にコンクリート水路において高い流量変動による底生動物の密度が減少した. 増水期後には, 底生動物の生活環や水田とのつながりによって, 各水路で減少した密度の回復が確認された. 物理環境が異なる各水路において, 底生動物が多く生息していたコンクリート水路のほうが土水路よりも増水による影響が大きかった. 減少した密度の回復では, 底生動物の生活環と水田による流れの避難場所が関係していると考えられた. よって水田地帯の水管理による影響を評価する場合, 物理環境と生物の生活環について, 水田と水路のつながりを踏まえて考えることが重要である.