医療
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注意を要するステロイド緑内障の2症例
保倉 賢造
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1972 年 26 巻 1 号 p. 69-73

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抄録
緑内障が薬物によつて誘発されることは, 古くから知られており, その代表的なものは散瞳剤であり, またまれには逆に縮瞳剤により起とることもありうることが知られている. 前者を散瞳緑内障, あるいはアトロピン緑内障と名付け, これに対し後者を縮瞳緑内障, またはInnverse glaucomaという.
戦後新薬の発達により, 上記以外の薬物, 例えば白内障全摘出時に用いられるα-キモトリプシンや, ステロイド剤による緑内障が認められるようになつた.
ステロイド剤の投与による緑内障の誘発も, すでに20年前, 1950年Woodにより報告され, その後MeLean (1950), Stern (1953,) Francois (1954)らの記載が見られ, 本邦においても岩田ら(1960)が始めていわゆるSteroid induced glaucomaを報告してより, 浅井(1960), 清水(1964), 北沢(1965)の報告が相い続いている.
しかしながら残念なことには, 現在にいたるも, ステロイドによる事故があとをたたない実情にある. 私も最近本症の2例に遭遇したので, その概況を報告し, 文献に追加したい.
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© 一般社団法人国立医療学会
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