医療
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慢性分裂病の長期経過に関する研究
―とくに薬物療法の影響について―
国立精神療養所共同研究班秋元 波留夫安藤 烝
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1976 年 30 巻 7 号 p. 639-646

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抄録
国立精神療養所11ヵ所において, 発病後10年の経過追求可能の慢性分裂病529例を資料として, 向精神薬による薬物療法の効果を検討した. 慢性分裂病の初期から薬物療法を施行すると, シヨツク療法施行例に比較して, 症状軽快を示す症例の比率が多く, また介助及び看護に手数のかかる状態の発生を予防する. そしてこの効果は, Phenothiazine系薬剤, Reserpine系薬剤に共通である.
シヨツク療法時代に改善をみなかつた陳旧分裂病に対しても, 薬物療法は, 介助及び看護に手数のかかる状態を示す症例の比率を減少させ, 院内適応群を増加させる. そして, その改善の比率は, 保護室収容のような全面介助を要する症例に高く, 軽作業可能程度の症例には少ない. また状態の改善が, 薬物療法開始後2年以上を経て, 始めてあらわれる症例も多い.
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© 一般社団法人国立医療学会
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