医療
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上矢状静脈洞血栓症の1治験例
小野 陽二石川 滋
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1976 年 30 巻 7 号 p. 650-654

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抄録
1917年以来本邦における上矢状静脈洞血栓症は約30例にすぎない. 本症は麻痺, 痙攣発作, 意識障害などの臨床症状を伴う. 診断には頸動脈血管写の静脈相が最も有用である. 多くの症例で頭蓋内圧充進が認められ, 必要に応じて脳室心耳または脳室腹腔短絡術が施行される.
我々の症例は44才男子でRestless confusion, 重積痙攣発作及び右半身不全麻痺で来院した. 治療としては抗生物質, 低分子デキストラン, 繊維素溶解酵素, 抗痙攣剤の使用と共に, 頭蓋内圧亢進に対して脳室心耳短絡術が施行された. 治療後諸症状は改善し, 今日では神経学的欠陥や痙攣発作は認められず, 元気に働いている.
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© 一般社団法人国立医療学会
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