医療
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出血性シヨツク時の換気量変化に伴う循環動態の実験的研究
川井 田浩
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1977 年 31 巻 10 号 p. 1048-1055

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抄録

出血性シヨツク時の至適換気量を知る目的で, 35頭の犬を血圧50mmHgに脱血し, 1回換気量10ml/kg~60ml/kgの6群に分けて, 脱血2時間, 返血2時間にわたり, Pao2, Paco2, pH, 心拍出量, 平均循環時間, 肺動脈圧を測定して, 次の結果を得た.
(1) 1回換気量20ml/kg以上群にはHypoxemiaはみられなかつた.
(2) Paco2は, 1回換気量20ml/kg群が最も対照値に近い推移を示し, 30ml/kg以上群は, 25mmHg以下の過換気を示した.
(3)pHは, 1回換気量30ml/kg以上群が対照値に近い推移を示した.
(4) 1回換気量30ml/kg以上の過換気群のうち, 30~40ml/kg群の血圧, 心拍出量, 平均循環時問および全肺血管抵抗について, 返血後の好影響が観察された.
(5) 出血性シヨツク時には, 適正pHの維持の重要性が推測される.

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