医療
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三角筋拘縮症の検討
村上 宝久熊谷 進
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1977 年 31 巻 12 号 p. 1370-1380

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抄録
注射による三角筋拘縮症は, 三角筋部(主に中央部)に行われた筋肉内注射の影響によつて筋線維に変性(線維化)が起こり, 筋肉の伸張性が減じて拘縮を発生し, 肩の機能に障害をもたらすものである. そして, 三角筋部の主として肩峰部に線維性索状化を発生することが多いため, 肩の外転位拘縮(内転制限)を主徴候とする. 三角筋部は, その解剖学的特殊構造よりみて, 障害を受ければ容易に拘縮が発生する要素を多分に含んでおり, 大腿四頭筋以上に危険な注射部位といえる.
今回, 我々は, 昭和41年より51年にかけて, 当科を訪れた注射による三角筋拘縮症の44例55肢について各方向より検討を加え, いささかの知見を得たので報告する. また本症の治療については, 大腿四頭筋拘縮症と同様にいまだ確立されたものがないのが現状であり, その手術適応, 手術時期, 手術方法などについても, 我々の考えを述べてみる.
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© 一般社団法人国立医療学会
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