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老人整形外科の諸問題
荻野 幹夫
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1978 年 32 巻 12 号 p. 1461-1468

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抄録

近年我が国の諸医療機関整形外科部門を訪れる老人患者は増加しつつある. これら老人患者には, 幾つかの特有の整形外科的問題がある. 本文では, その中で4つの問題をとりあげ検討してみた. それらは, オステオポローゼ, 大腿骨頸部骨折, 膝及び股関節変形性関節症と神経症状を伴う変形性脊椎症である.
オステオポローゼについては, 成因には種々の説があり, それらに従つた治療法が提唱されているが, そのいずれも, ある程度の効果がある. その中でオステオポローゼ発症の最も重要な因子は, 老人の身体運動量の減少であろう. オステオポローゼ発症の予防には, 適度の運動が重要であることを強調したい.
大腿骨頸部骨折の発症の最も重要な因子はオステオポローゼである. 本症の治療については, 種々の人工置換物が用いられることがあるが, 十分慎重な考慮が望まれる.
膝及び股の変形性関節症は, 動的な病態生理学的見地より再分類されるべきである. 通常のX線像のみよりなされる分類は, 必ずしも適切な治療法の選択には適していない.
神経症状及びまたは間けつ的破行症状を伴う変形性脊椎症例には, 広範囲椎弓切除を含む積極的な外科的治療法がすすめられる.

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