医療
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除菌除癌細胞腹水濃縮再静注療法の臨床応用
林 勝憲井上 昇森 一雄小出 桂三遠山 純子広瀬 脩二神谷 直紀太田 早苗舟木 治雄渋沢 喜守雄
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1978 年 32 巻 3 号 p. 304-311

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抄録
利尿剤その他の一般的腹水の治療法に対し抵抗性を示す, いわゆる難治性の腹水症例に対し腹腔穿刺は有効ではあるが, 反復することにより体蛋白の損失などの副作用が認められる. それに対し本法では除去した腹水を癌性腹膜炎においては癌細胞の再静注を防ぐために除菌除癌細胞フィルターで濾過し, 更に濃縮フィルターで濃縮して再静注し, 蛋白質, 電解質などの損失が防ぐことができる. また癌性腹膜炎による腹水の場合, その蛋白濃度が高いことが多いため, 濃縮再静注療法の適応から除外されていたが, 本装置にこおいては除菌除癌細胞フィルターにおいて細胞成分と同時に蛋白成分もかなり除去されるために濃縮用フィルターで再度濃縮することができ, 簡便なPrefilterの交換のみにて, Filter自体の目づまりを起こさず, 今回の施行例では腹水蛋白5.6g/dlの腹水を最高6.5l処理することが可能であつた. 副作用は, 悪寒発熱が主であつたが対症療法にて軽減した.
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© 一般社団法人国立医療学会
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