1978 年 32 巻 9 号 p. 1073-1081
昭和51年10月より昭和52年9月までの11年間に国立松山病院で経験した重複癌101例について検討した. 65例は両癌とも臨床的に発見されたもので, 単独癌患者7, 364例の0.88%を占める. 36例は重複癌の一方が剖検で発見されたもので, 癌剖検数442例の8.14%を占める.
臨床重複癌は男性27例, 女性38例, 発現間隔は1年未満14例, 1年以上51例であり, 胃癌, 子宮癌, 乳癌との組み合せが多く, 第1癌83.1%, 第2癌は61.5%に対して根治的治療が行われ, 第1癌で死亡8例, 第2癌で死亡19例, 他病死亡3例であつた.
剖検重複癌は男性21例, 女性15例, 甲状腺癌, 胃癌, 大腸癌, 肝癌, 膵癌との組み合せが多く, 22.2%に根治的治療が行われ, 第1癌で死亡34例, 他病死亡2例であつた.
癌治療患者の経過観察にあたり, 重複癌についても十分な認識をもち早期発見, 早期治療に努力すべきである.