医療
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日本住血吸虫症(片山病)
―組織内虫卵の電子顕微鏡による観察
岡本 司
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1979 年 33 巻 1 号 p. 21-24

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抄録

当院で病理組織学的検索によつて見出された日本住血吸虫症(片山病)は昭和53年1月現在40症例を数える. これらに関する臨床病理学的検索結果については既に一部を報告してきたが, 今回は本症の組織内虫卵を電子顕微鏡を用いて観察して, 得られた結果について報告する. 使用した症例は既報の第7症例の, 外科的に別出されたS字状結腸で, ホルマリン固定後のものを電顕的に再固定し超薄切片を作成し観察を行つた. その結果, 粘膜下組織に認められる虫卵は大きさ0.08×0.06mmで外部の卵殻と内部の幼虫部から成り, 卵殻は1層の角皮質様構造を示し卵殻外表面に外方へ突出する微細絨毛様突起物が認められた. この突起物は虫卵に固有のもので虫卵の表面積を大きくし, 虫卵の組織内介在に関して組織との結合を強固にすることに重要な役割をはたしていると考えられる.

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