医療
Online ISSN : 1884-8729
Print ISSN : 0021-1699
ISSN-L : 0021-1699
国立佐賀病院における骨盤位と児の長期予後について
大隈 良貴矢野 禎男松元 敏博安部 宏
著者情報
ジャーナル フリー

1979 年 33 巻 4 号 p. 414-419

詳細
抄録

1. 骨盤位分娩の頻度は2.8%であつた.
2. 骨盤位分娩児の死亡率は3.9%であつた. その主な原因は未熟児, 初産の足位分娩であつた. 我々は, 児死亡率を減少させるために次のことを試みたい. 未熟児は分娩直後にNICUに紹介すること, 骨盤位については, 小畑の方法のように500ccのコルポイリンテルを子宮腔内に挿入すること. 適宜, 子宮頸管に切開を加えること, 後続児頭鉗子を試みること.
3. アプガール・スコアー5点以下の症例は12.1%であつた. 分娩進行の停止, 遅延がある場合, 早めに帝切した方がよいと思われる.
4. 帝切率は11.0%であつた. この2年間, 帝切率は増加の傾向にあつた. 帝切率を減少させるためには, 高年初産婦の外回転術を試みること, また試験分娩を試みたい.
5. 88例の骨盤位分娩児について, その後の発育を調査した. 脳性小児麻痺, 重篤な後遺症を残した症例はなかつた.
我々は, 脳性麻痺の発生を少なくするために, アプガール・スコアの良い児を得る工夫が必要である.

著者関連情報
© 一般社団法人国立医療学会
前の記事 次の記事
feedback
Top