医療
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アルコール症の徐波睡眠障害とCT-Scan
三宅 弘子飯島 寿佐美菱川 泰夫
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1979 年 33 巻 6 号 p. 544-550

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抄録

アルコール症患者の断酒後の回復期における徐波睡眠と大脳皮質萎縮度を検討した. 飲酒歴10年以上の男性入院患者(年令は31~47才)の断酒後4期(2週目~3ヵ月目)の終夜睡眠ポリグラフを分析した. また, 断酒後3ヵ月目の徐波睡眠率(% S3+4)とCT-スキヤンによる大脳皮質萎縮度とを比較検討した. CT-スキヤンより大脳皮質萎縮度のスコアリングを行つた. 断酒後3ヵ月目の% S3+4とCT-スコアの間に有意の逆相関を認めた. 徐波睡眠の回復度の低いものほど大脳皮質萎縮度が高度であるといえる. CTと年令とは有意の相関を認めなかつた. なお飲酒歴との関係についても検討した. この成績は, 長年月の飲酒がもたらす大脳皮質の恒久的損傷への可能を示唆しており, それが徐波睡眠の回復の低下に関係しているといえる.

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