抄録
腎移植をうけた患者より36人を無作為に抽出し, 各種の抗体について検索した. lymphocytotoxic antibodyの検査では50人の正常人リンパ球パネル, および培養リンパ芽球3種をtarget cellとして使用した. mixed lymphocyte reaction (MLR)を抑制するantibodyを検査し, 両者とrejectionとの相関を検討した. リンパ球膜抗原に対する抗体の検査には, リンパ球表面を125Iでラベルし, 溶解した後, 血清と培養しできたimmune complexをpolyacrylamide gel electrophoresisにより分析した.
cytotoxicityとMLRの抑制との間には, MLR抑制を示す血清はほとんどB細胞に対してcytotoxicであり, 相関があつたが, これらとrejectionとの間には明らかに相関がなかつた.
これまで抗原特異性は明らかにされていなかつたが, Polyacrylamide gel electrophoresisを使つて検索するとcytotoxicでMLRを抑制した血清が70,000-68,000の分子量の抗原と結合した. この意義はいまだ決定されていない.