抄録
コンピユーターレ線断層撮影(CT)の普及により, 頭蓋内出血の診断が容易となり, 小児例においてもその恩恵に浴している.
我々は, 2才, 4才, 6才の例を経験し, 6才例では, 明らかな動静脈奇形を発見し, 根治術を行い, 出血源と見なしたが, 4才例は橋の大出血巣をCT像上で確認し得たものの, 剖検によつてもその出血源を証明し得ず, 2才例も手術により好結果を得, 順調に発育しているものの, 出血源を確認し得なかつた.
これらより, 小児脳内出血例は, 動静脈奇形を出血源とするものが多いと推定されるが, 出血源を明確化し得ない, 突発性といわざるを得ないものが少なくないと考える.
いわゆる潜在性血管腫(Cryptic angioma)の範囲より, より小さな血管奇形でもあるのであろうか.