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てんかん発作と見誤られていた非てんかん性発作
―重障児の発作症状―
森川 建基藤原 建樹八木 和一清野 昌一
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1981 年 35 巻 6 号 p. 521-526

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抄録
非ないし偽てんかん発作症状が, てんかん発作と見誤られて治療されていた, 重障児6例の発作症状の特徴を検討し, てんかん発作との鑑別の要点を述べた. その発作症状の特徴をみると, 泣き入りひきつけ, 特異な驚愕反射(欠神発作に類似), 痙直型四肢麻痺児にみられた一過性の筋緊張亢進状態(強直発作に類似), アテトーゼ型四肢麻痺児の異常運動およびphenytoin中毒症状(精神運動発作の自動症に類似)であつた.
以上の症例の経過を縦断的にみると, 次のような場合に非ないし偽てんかん発作症状が真のてんかん発作と見誤られがちなことがわがつた. 1)過去にてんかん発作があり治療を継続していた場合, 2)発作間歇時の脳波にてんかん放電が認められる場合, 3)現在他に真のてんかん発作があり, 且つてんかん放電が認められる場合, 4)脳波上の陽性所見を欠くが臨床発作症状が何らかのてんかん発作と酷似していた場合であつた.
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© 一般社団法人国立医療学会
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