抄録
漢方方剤である小青竜湯エキスを, 肺炎や気管支炎の急性期に内服させ, その効果をみた. 53年1月より2年間に胸部X線像上肺炎または気管支炎と診断されて入院し, しかも肺野に湿性ラ音を聴取した者は53名であつた. このうち12名に小青竜湯エキス0.19/kgを内服させ, 他の41名をコントロールとした. 両群とも, 西洋医学的治療は全く同様に行つた.
解熱に要した日数は, 小青竜湯使用群は平均1.2日で, 対照群の2.3日に比べて有意に短い. また湿性ラ音の消失に要した日数は小青竜湯使用群で3.3日, 対照群で4.4日であり, この差も有意であつた. 治療開始後1週間目にCRPが陰性化したものは小青竜湯使用群では6名中5名であり(82.5%), 対照群の26名中22名(84.6%)と差はなかつたが, 赤沈値が20/40以下となつた者はそれぞれ, 6人中4人(66.7%), 28人中7人(25.0%)であり, 小青竜湯使用群のほうが赤沈値が早く正常化した.