医療
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子宮頸部微小浸潤癌の診断と治療
丹後 正紘川原 領一松山 毅長柄 一夫岡部 三郎
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1982 年 36 巻 12 号 p. 1163-1168

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抄録

子宮頸癌Ia期検討委員会の診断基準は該当した微小浸潤癌72例について, その細胞所見, 組織所見と治療成績について検討した. 微小浸潤癌の細胞診の正診率は72例中52例(72.2%)であつた. 細胞像は深層型悪性細胞に混じて中表層型悪性細胞が出現し, 多彩である. 悪性細胞の出現には大きな集塊をなすものが70%の症例にみられた. クロマチンの粗顆粒状, 不均等分布やindian ink様の濃縮核の増加, 核小体の出現なども特徴的であつた. 背景は悪性細胞の出現に比して比較的きれいで, 出血は84%の症例に, tumor diathesisは36%の症例に認められた. 微小浸潤癌の診断には, 頸部円錐切除による頸部全域の組織検査で, 浸潤の深さのみてなく, 脈管侵襲, 癒合浸潤などを除外し, 発育先端に退行変性の所見があれば, 単純子宮全摘術でよい. 根治手術を行つた52例中, リンパ節転移例はなかつた. 微小浸潤癌の再発例も経験していない.

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