医療
Online ISSN : 1884-8729
Print ISSN : 0021-1699
ISSN-L : 0021-1699
てんかん患者における小脳萎縮
―CTスキヤンにおける検討―
塚本 泰近藤 達也村岡 勲吉岡 真澄
著者情報
ジャーナル フリー

1983 年 37 巻 1 号 p. 77-82

詳細
抄録
てんかん患者における小脳萎縮の原因としては発作時の脳虚血によるとする説(Damら)と主としてphenytoinなどてんかん薬の副作用であるとする説(Kokenleら)がある. 我々はCT矢状断像で患者の小脳萎縮度を計測し, 発作頻度, 投薬との相関を調べた. 患者は平均42才の本態性てんかん患者50名(大発作37名精神運動発作5名, 失神発作4名, その他4名)である. 罹病期間は平均8.1年である. 同年令層の軽症頭部外傷患者20名のCTスキヤンをcontrolとして用いた. 結果:正常者では小脳は大脳と相関しながら加令と共に萎縮が進行する. てんかん患者においては大脳萎縮は発作回数と高い相関関係(r=0.61)にあるが, 小脳萎縮は発作回数との相関は低く(r=0.19), Diphenylhydantoin (DPH)の血中濃度との相関が認められた(r=0.50). 小脳萎縮は種々の複合的原因で招来されるのであろうが, 我々の調査ではDPHの影響が考えられた. 可能なら他の薬物でのcontrolが望ましい.
著者関連情報
© 一般社団法人国立医療学会
前の記事 次の記事
feedback
Top